内田 私も毎日いっぱいいっぱいでしたよ。周りについていくためには、たくさん練習しなきゃいけない。レッスンだけじゃ足りないから、家に帰ってから夜中まで練習することもよくありました。ただ、やればやるほど睡眠不足になるし、学校との両立も難しくなるし。
それだけが理由ではないかもしれませんが、合格したけど初回のレッスンに現れなかった子や、レッスンの途中から来なくなった子もいました。
つらくてしんどいアイドルの世界を続けられた理由
――そんな環境の中、内田さんはどうやってモチベーションを保っていたのでしょう。
内田 アイドルになる前の生活に戻りたくなかったんですよね。
――以前の生活に戻りたくないとは?
内田 何もない自分が嫌でアイドルの世界に飛び込んだのに、辞めてしまったらまた「自分には誇れるものがない」と悩み続ける生活に戻ってしまう。それだけは嫌だったんです。アイドルの世界はつらくてしんどいことも多いけど、それは前に進んでいるからこその痛みだと思えたから、続けられたのだと思います。
あとは、「私にはこんな夢がある」「いつかこんなことがやりたい」って夢を語り合える仲間ができたのも、続けられた理由のひとつですね。というのも、アイドルになる前は、同年代の子たちと夢を語り合う機会がほとんどなくて。たまにポロッと本音で話すと、「何言っちゃってんの?」みたいな反応で返されることが多かったから、夢を口にするのが怖かった。
でも、AKB48に入って、心からやりたいことを語れる仲間がたくさんできたんです。それをみんなで「いいね!」と言い合える環境を手放したくなかったし、そんな場所に居られることが私の誇りでした。アイドルという仕事は、確実に私の世界を広げてくれた。だから、「やりきった!」と思うまでは、諦めたくなかったんです。
――仲間たちとは普段、どんな夢を語り合っていたのですか。
内田 同期の北原里英ちゃんは加入当初から「女優になりたい」と言っていて、その夢を実現させたし、同じく同期の指原莉乃ちゃんはずっと「売れたい」と言っていて、今めちゃくちゃ売れている。そういえば私も、当時から「社長になりたい」と言ってました。
撮影=橋本篤/文藝春秋
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