2014年4月29日、AKB48在籍中に自身がオーナーを務める焼肉店「焼肉IWA」をオープンさせた内田眞由美さん(29)。オープンから1年後の2015年にAKB48を卒業し、2021年には所属していたタレント事務所も退所した。

 そんな内田さんは、今年でオープン10年目を迎える「焼肉IWA」をどんな思いで切り盛りしてきたのか。「店を畳もうと思ったことは、何度もあった」と話す彼女に、お店の歩みや経営者としての現在地などを聞いた。(全3回の3回目/1回目から読む)

内田眞由美さん ©橋本篤/文藝春秋

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実は2022年末でお店を閉める予定だった

――AKB48在籍中にオープンした「焼肉IWA」も、今年で10年目。売上が良くない時期もあったそうですが、どんな紆余曲折があったのでしょうか?

内田眞由美さん(以下、内田) オープンして2年目くらいまでは、ファンの方がたくさん来てくれました。でも、2年目以降は少しずつ売上が落ちてきて……。今でも売上が良いときと悪いときの波は激しいです。

 メディアに出る良い部分だけを見ている方には、「焼肉店をやっていて儲かっているんでしょ」と思われたりもします。でも、ここまでの道のりは決して平坦ではなくて。「これはお店を畳むことになるかもしれない」と思ったことも、何度もあります。

 特にコロナ禍以降は本当にきつかったですね。最初は国から支給される給付金や経費を削ることでなんとかやりくりしていたけど、それでも足りなくて。従業員の給料を払うため、自分の給料はしばらくゼロでした。

 実は「これ以上負債を増やすわけにはいかない」と、2022年末でお店を閉める予定だったんです。店舗を売却する話も不動産屋さんと進めていました。

 

母からは「楽観的すぎ!」と怒られることも

――そこまで危機的な状況だったんですね。

内田 今まで従業員と親友くらいにしか話していなかったんですけどね。このお店を買いたいって見学に来られた方もいるんですよ。

 でも売る直前になって、やっぱり嫌だなと思ってしまって……。「社長になりたい」って夢を叶えてくれた場所を手放したくなくて、もう一度だけ頑張ってみることにしました。

 そうしたら、今年に入って海外からの観光客が一気に増えたんです。今は、観光客向けのメニュー表や看板を作成したり、従業員みんなで英語や中国語を勉強したりしています。もちろん私も勉強中です。苦しい時期が続いたけどなんとか耐えていたら、やっと良い波が来てくれましたね。

――いくつかの危機を乗り越えながら、お店を存続させてきたんですね。オーナーとしては、どんなことを意識して経営に携わってきたのですか?