大ヒットシリーズ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(2012~’21年)で、米倉涼子さん演じる主人公の親友として登場する内田有紀さんの姿を目にすると、つい“あの美少女が……”と思ってしまう。

©️時事通信社

 私が彼女を初めて目にしたのは、今から約30年前。当時の内田さんは17歳で、フジテレビ系で放送された『ボクたちのドラマシリーズ』第1シーズンの第2弾、『その時、ハートは盗まれた』(’92年)の記者会見場だった。

『ボクたちのドラマシリーズ』は、フジテレビのヒットメーカーのひとりで『世にも奇妙な物語』や『古畑任三郎』シリーズなどで知られる石原隆プロデューサーが企画した1時間ドラマ作品で、我々テレビ誌記者はこのドラマで期待の新人女優がデビューすると伝えられていた。その新人が、内田さんだったのだ。

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中学生からモデルとして活躍。一方でフェンシングの選手としても…

 内田さんは1975年11月16日生まれ、東京都広尾出身。女優、モデル、タレントであり歌手でもある。中学2年生からモデルとして活動を開始。高校進学後はフェンシングで東京都大会3位入賞までいき、オリンピック出場も目指していたとか。ショートカットで褐色に日焼けしたその顔と、ややハスキーな通る声が印象的な、とにかくスポーティーで、見ているだけで“元気”をもらえるようなイメージだった。

当時のユニチカのポスター

 そんな彼女のTVドラマ本格デビュー作『その時、ハートは盗まれた』は、今でこそポピュラーになった感のある“百合ドラマ”。一色紗英さん演じる主人公の椎名裕子が、ある時いきなりファースト・キスを奪われたことをきっかけに、内田さん演じるボーイッシュな同級生に恋心を抱くストーリーだ。当の内田さんは、セリフ回し以上にその存在感が際立っており、それは現場の記者の間でも共通の意見だった。

 ちなみに、このドラマではもうひとりのちの名優が誕生している。まだキムタクと呼ばれる前の元SMAPの木村拓哉さん。彼の連ドラ初レギュラー出演作でもあった。第1回目の放送を観た記者たちは翌日記者席で、口々に「彼って演技うまいよね?」と語っていたことを思い出す。