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 それもそのはずで、結婚前の2000年、内田さんは歌手活動を休止。舞台演劇の名門「北区つかこうへい劇団」第8期生として入団。演技の勉強を基礎からやり直していた。2001年の舞台『新・飛龍伝』ではセクシーな衣装が話題を呼び、当時「FLASH」(光文社)等に掲載された写真を見て、筆者も驚いたものだった。

つかこうへい劇団の舞台『新・飛龍伝』に出演する内田有紀さんの稽古風景(2001年)

 こうした経験値は確実に内田さんのなかで血肉となっているのだろう、復帰後は“演技派女優”の道を一直線に突き進んでいった。国民的大ヒットドラマ『ドクターX』シリーズでは、主役の米倉さんに並ぶ存在感を示すに至っている。

激しい絡みの場面でも胸をブラで覆い…

『ドクターX』以外にも、’10年公開の映画『ばかもの』では、ヒロインの額子として本格的なラブシーンにも挑戦。8歳下の19歳の青年・ヒデ(成宮寛貴)との10年にもわたる運命的なラブ・ストーリーを演じた。歳下のヒデを誘惑しながら、ある日突然別れを告げて去る奔放なキャラクターだが、10年後に再会し、今度は真の愛に目覚める役どころだった。

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 映画では最初は激しい絡みの場面でもバストをブラで覆うという演出で象徴させているように、“体は許しても心を許すことはなかった”額子が、10年後の2人が愛を確かめ合うシーンでは、まるで互いを慈しむかのように抱くイメージに変わるなど、時の流れでの変化を見事に演じきっていた。

 絲山秋子さんの原作を読んだ内田さんは、額子の不器用さに惹かれて出演を決意。とことん額子を好きになろうと誓ったという。

「予期せぬアクシデントが起きた後、どうはい上がるかが人生の醍醐味。軽やかに生きているように見えて内心とても傷ついていたり……。それをいとも簡単に生きているかのように見せられるかで、度量の大きさが試されると思います」

 と、当時の取材で語った内田さんは、額子にそれまでの自身の人生を重ね合わせているようにも思えた。

 デビュー当初から『世にも奇妙な物語』(内田さん主役回は’94年と’08年)や『踊る大捜査線』シリーズ、大河の『西郷どん』(’18年)等、話題のドラマに出演を続けて、現在もCMに映画にと活躍の場は広い。

 筆者的には、仲間由紀恵さん主演で話題になった『サキ』(’13年)での、姉御肌の週刊誌美人デスクの濱田直美役が、彼女のお芝居の良さ、そして本来のキャラクターの魅力をうまく引き出した役として印象に残っている。機会があったらぜひご覧いただきたい。