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 交通利便性のほかに住宅選びで重要な要素になるのは、小中学校などの教育施設までのアクセスだが、基本的に日本の農山村部では徒歩での生活を想定した道路整備をおこなっていないので、周辺道路には歩道やガードレールもなく、児童の通学に配慮がなされているとはとても思えない。

 

 追いうちをかけるように、近年、少子化にともなう児童・生徒数の減少によって小中学校の統廃合があいついでおり、地域から教育インフラそのものが消滅しつつある。教育施設と同じく住宅選びで重視される医療機関についても、同様のことがいえる。

完全撤退した民間バス会社のあとに残ったものは…

 一般的に、今日の郊外住宅地の衰退の要因(あるいは結果)のひとつとして指摘されるのが、地域住民の足として機能してきた路線バス網の縮小による交通利便性の悪化である。

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 自家用車の普及と少子高齢化の進行、そして既存の商業地域の空洞化などさまざまな要因がからみ、とくに地方を中心に路線バス事業の収益は悪化しており、減便が続いている。限界分譲地はその傾向がより顕著であり、少なくない地域で、減便どころか民間のバス事業者が完全に撤退してしまっている。

 代替交通手段として、自治体によるコミュニティバスが運行されている地域もあるが、もともとコミュニティバスは福祉政策の色あいが濃いもので、通勤・通学における利便性や速達性を優先して運行されているものではない。

 しかも、いまやそのコミュニティバスすら利用者数の少なさを理由に廃止されてしまい、地域住民限定の予約制のオンデマンド・タクシー以外に、公共の交通手段がいっさい存在しない分譲地もある。

 そもそもそれ以前の問題として、千葉県北東部の限界分譲地を一度でも訪問すればすぐにわかることだが、農村の片隅に位置する限界分譲地の多くは、小型自動車がようやく一台通行可能な、ときにはガードレールもないあぜ道まがいの、きわめて幅員の狭い貧弱な道路を通行しなければたどり着くことができない場所にある。