遺産は結局いくらあるのか
7月11日、ドン・ファンの自宅で四十九日法要がしめやかに行われ、さっちゃんとマコやんらベテラン従業員でドン・ファンの成仏を祈った。マコやんが言う。
「どうやら8月の初盆が終わるまで、彼女は田辺にいるようです。まだ決まっていないお墓のこともあるし、やらなければならないことが沢山ありますから」
やらなければならないこと――その中でさっちゃんにとって最も重要なのは、遺産の額の確定と、その相続だろう。前章でも触れたように、さっちゃんが依頼した弁護士たちも、マスコミ対策より遺産問題に注力している。
だが、ドン・ファンはそこらの資産家とはワケが違う。本人しか知らないことが山ほどあったし、いろいろ常識外れの部分もあることは、ここまで読み進めた読者なら理解していただけるだろう。
だから、遺産額の確定は、それほど生やさしいことではない。私なりに、財産の全貌について取材してみた。
会社関係者が言う。
「数行の銀行に預けている預金がだいたい7億円くらい。それから、証券会社が管理している株も、同じく7億円分くらいあると思います」
ここまではわかりやすい。関係者が続ける。
「問題は、貸金業で貸し付けたカネで、まだ回収していないものが多々あります。おそらく数億円に上ると思いますが、正確な計算はまだできていません。というのも、6月20日に会社にガサ(家宅捜索)が入ったときに、貸金業の帳簿をすべて押収されてしまったので、計算できないんです」 押収された貸金の顧客ファイルは1000冊以上あったという。警察はその中から怪しい人物、社長に恨みを抱いていそうな人物を探したいのかもしれないが、顧客は北海道から九州まで散らばっており、その捜査は簡単ではないだろう。
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