文春オンライン

お金と家族

〈紀州のドン・ファン死亡事件〉遺産総額約50億円のはずが…自宅の大型金庫に残されていなかった“消えたカネの行方”

〈紀州のドン・ファン死亡事件〉遺産総額約50億円のはずが…自宅の大型金庫に残されていなかった“消えたカネの行方”

『紀州のドン・ファン殺害』より#1

2023/05/07

genre : ニュース, 社会

遺産は結局いくらあるのか

 7月11日、ドン・ファンの自宅で四十九日法要がしめやかに行われ、さっちゃんとマコやんらベテラン従業員でドン・ファンの成仏を祈った。マコやんが言う。

「どうやら8月の初盆が終わるまで、彼女は田辺にいるようです。まだ決まっていないお墓のこともあるし、やらなければならないことが沢山ありますから」

 やらなければならないこと――その中でさっちゃんにとって最も重要なのは、遺産の額の確定と、その相続だろう。前章でも触れたように、さっちゃんが依頼した弁護士たちも、マスコミ対策より遺産問題に注力している。

ADVERTISEMENT

 だが、ドン・ファンはそこらの資産家とはワケが違う。本人しか知らないことが山ほどあったし、いろいろ常識外れの部分もあることは、ここまで読み進めた読者なら理解していただけるだろう。

 だから、遺産額の確定は、それほど生やさしいことではない。私なりに、財産の全貌について取材してみた。

 会社関係者が言う。

「数行の銀行に預けている預金がだいたい7億円くらい。それから、証券会社が管理している株も、同じく7億円分くらいあると思います」

 ここまではわかりやすい。関係者が続ける。

「問題は、貸金業で貸し付けたカネで、まだ回収していないものが多々あります。おそらく数億円に上ると思いますが、正確な計算はまだできていません。というのも、6月20日に会社にガサ(家宅捜索)が入ったときに、貸金業の帳簿をすべて押収されてしまったので、計算できないんです」 押収された貸金の顧客ファイルは1000冊以上あったという。警察はその中から怪しい人物、社長に恨みを抱いていそうな人物を探したいのかもしれないが、顧客は北海道から九州まで散らばっており、その捜査は簡単ではないだろう。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

〈紀州のドン・ファン死亡事件〉遺産総額約50億円のはずが…自宅の大型金庫に残されていなかった“消えたカネの行方”

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー