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クマは顔面をねらって攻撃をしかけてくる

「クマを巴投げで投げ飛ばして撃退した事例もあります」と山﨑教授は言いつつも、よほどのことがなければ正面切って戦うのは避けたほうがよいともいう。クマは顔面をねらって攻撃をしかけてくるので、顔や首周りの急所に致命的ダメージを受けないようにするのがまず第一であると。両手を後頭部で組んで顔を覆うようにガードして伏せるのが防御の基本ポジションになるとのことだ。

 しかしいずれにしろ、襲われてしまったらもうできることは限られてしまう。であれば、遭遇しないようにするほうが大切だ。その意味では、「クマ鈴を鳴らしながら歩くことは一定の効果はあるはず」と山﨑教授はいう。クマは聴覚が非常に優れており、犬よりもはるかに上なのだという。登山者が少なく、クマが潜んでいそうな場所を歩くときは、クマ鈴を活用するのが現実的な防衛策になるはずだ。

 かつてはクマに襲われる事故はそれほど多くはなかったが、2000年代に入ってから、環境の変化などにより人身事故が増加している。「この山にはクマは出ない」という経験則で判断するのではなく、一定の知識と対策が登山をする人にも求められているのだろう。