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石神井の中華飯店で、71歳店主がつくる「550円のラーメン」を…荻窪の老舗との“知られざる縁”に迫る!

石神井の中華飯店で、71歳店主がつくる「550円のラーメン」を…荻窪の老舗との“知られざる縁”に迫る!

B中華を探す旅――石神井「漢珍亭」

2023/05/09

メニューの多さは、探究心のたまもの

 とはいえ工夫するのはお好きなようで、餃子が少し変わっているのもそのせいらしい。

「そう。餃子もね、中身はしゃべれないんだけど、とても変わってるんですよ。焼いて、お湯を切って、それから油を入れて、で、カリッと焼くという感じで。昔からやってるんですよ。(一般的な)焼き餃子がみんな好きでしょ。だけど、こういうのもいいんじゃねえかなと。あと、しそ餃子なんか、よく出ますよ」

 メニューに並ぶ品数が多いのは、そういった探究心のたまものなのである。

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「あちこち歩いて、知り合いに教えてもらったのね。仕事終わってから別の店へ行って、後片づけを手伝ったりして。たとえば回鍋肉は甜麺醤をつくって、そこに八丁味噌を加えるんだけど、こういうふうにやってるところはないですよ。味噌をつくるのに1時間近くかかるからね。焦がしちゃいけねえんだからさ」

後継者はおらず、「私で終わりです」

 奥様との間に子どもは3人。娘2人、男1人で、全員が結婚して家を出ている。そのため後継者はおらず、「もう私で終わりです。私か女房が倒れたらやめようなっていう感じ」とおっしゃる。なお奥様は、同郷の方なのだそうだ。

「だから気が合うんだね。同郷で、お互いに知ってるからうまくいくんじゃない?」

 毎朝7時から仕込みを始め、午前11時から14時まで営業。少し休んだら17時からまた店を開け、20時半まで続ける。そんなペースだから、休みらしい休みはないという。「俺、働くの好きなのよ」とおっしゃるが、お休みは日曜日だけ?

「日曜日は上北(かみきた・正面の上石神井北小学校)のソフト(女子ソフトボール)。そのお手伝い。それが楽しみで。子どもに元気をもらえる。いやあ、子どもはかわいいですよ。ほんと、かわいい。元気をもらえるもんなあ」

 お孫さんも4人いるそうだ。

「今年中1と、小学4年生、小学2年生、それと今度5歳になるのかな。そういうのも励みになるからね。ありがたいなあと思います」

 店を開ければすぐにお客さんが入ってくる。そのうえ出前もあるので毎日忙しい。休みもないに等しいが、子どもたちとの触れ合いが原動力になっているのかもしれない。
 

INFORMATION

漢珍亭
東京都練馬区石神井台5-3-3
営業時間 11:00~14:00、17:00~20:30
定休日 日曜日
餃子 450円
ラーメン 550円
瓶ビール(大瓶) 650円

石神井の中華飯店で、71歳店主がつくる「550円のラーメン」を…荻窪の老舗との“知られざる縁”に迫る!

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