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レーシック手術によるドライアイは“ほぼ必発”

 レーシック手術の普及も、ドライアイと関係している。

 レーシック手術は“視力を戻す”という意味では優れた治療技術だが、角膜にレーザーを当てたり切ったりするので、角膜の知覚神経にダメージが及ぶことになり、目が乾く方向に傾いてしまうのだ。

「レーシック手術によるドライアイは“ほぼ必発”です。もちろん、きちんとケアをすれば重症化を防げますが、元々ドライアイの症状が深刻な人は、レーシック手術を受ける前に眼科医に相談してほしい」

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 順番としては、ドライアイの治療を受けてからレーシック――というのが理想的な流れなのだ。

コンタクトにつきものの“目の乾き”…改善するにはどうすればいい?

 コンタクトレンズも、“目の表面に貼り付ける”という構造上、どうしてもドライアイを助長させる。透過性を持たせた素材のレンズもあるが、目の乾きに苦慮している人は少なくないようだ。

「ドライアイに関しては、ソフトよりハードレンズのほうが乾きやすい。乱視があるなどの理由でハードレンズを求める人が一定数いるものの、現状は圧倒的にソフトレンズのシェアが上回っています。

 ただ、同じソフトレンズでも、ドライアイの人には“ワンデー”のレンズを使ってほしい。レンズを装着したまま目薬がさせるなど、ドライアイ対策に特化したレンズもあるので、症状のひどい時期だけ少し奮発して価格の高いレンズを使うなどの工夫はあってもいいでしょう」

放置するとどうなるの?

 ドライアイを放置するとどうなるのか。堀医師によれば、すでに触れたように角膜や結膜に炎症が起きたり、目の表面にキズができやすくなることはあるが、失明を伴うような重大な合併症を引き起こすことはないという。とはいえ放置するのは危険だ。

「生活の質を確実に下げるので、仕事の効率が下がる、勉強に集中できないなど、生産性が大きく落ち込みます。目の表面が乾燥した状態が続けばキズが付きやすくなるし、何より正しい対処をすれば症状は治まるので、放置する理由がないのです」 

 ドライアイを感じて眼科を受診すると、「涙液層破壊時間(BUT)」を調べる検査が行われる。検査用の色付き点眼薬をさしてまぶたを閉じ、再び目を開いてからその点眼薬が消える(蒸発する)までの時間を調べる検査だ。この「BUT」が5秒を下回ると「ドライアイ」の診断が下り、治療の対象となる。

眼科に行く前に「まずやってほしいセルフケア」

 しかし、眼科を受診する前に試すべきセルフケアがある。

 最も手っ取り早いのが点眼薬、つまり「目薬」の利用だ。医家向けのドライアイ用点眼薬には、ジクアホソルナトリウムやレバミピドという成分の入った点眼薬があるが、最初は市販の点眼薬で様子を見るのが現実的。ただ、ドラッグストアに行くと多種多様の目薬が並んでいて目移りしてしまう。選ぶ基準はあるのだろうか。