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予想される中国人訪日客の激増

 さらに5月8日からはコロナウイルスに関する感染症の分類が2類から5類に引き下げられ、空港での検査などの水際対策が大幅に緩和される。特に特別な規制を施していた中国からの訪日客についても、4月5日からワクチン3回の接種証明があれば出国前72時間以内での陰性証明書の提示が求められなくなっていることから、中国人訪日客の激増が予想される。

 実際に、中国からの訪日客数は23年1月から3月の累計で14万人。前年同期比で約10倍になっているが、数を大幅に増やしている韓国や香港、タイ、台湾などに比べると回復の足取りは重い。2019年の同時期には216万人もの訪日があったことを考えれば、毎月70万人から100万人もの新たな訪日客の増加が見込まれるのである。

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やむなく予約キャンセルも

 さて受け入れる側の態勢はどうだろうか。実際に稼働率、平均宿泊単価ともに好調で2019年時にほぼほぼ戻ったとされるホテル旅館業界だが、悩みは深い。長く続いたコロナ禍の影響で、従業員の数を絞り込んだのだが、いざ景気が回復して従業員を呼び戻そうにも、すでに他業種などに転職して雇用がままならないのだ。ただでさえ不規則な勤務時間、神経をすり減らす接客業務、少ない報酬でリクルーティングが厳しい業界であったのが、経済の回復にしたがってより良い条件のところに人が流れてしまっているのだ。リネンの交換や客室清掃についても、コロナ禍を契機に高齢従業者が引退し、外国人労働者もコロナ禍で帰国後は円安の日本での労働に魅力を感じない人が増え、いまだに続く入国規制もあいまって思うようにはならなくなっている。

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 したがって稼働をもっと増やしたいと思っても、サービス要員が足りずに顧客からの予約を泣く泣くキャンセルしているような事例が頻発しているという。