2年連続最下位に沈んでいた東京ヤクルトスワローズの監督に就任すると、的確なチームマネジメントで監督就任2年目にしてチーム20年ぶりの日本一を達成。さらには、セ・リーグ連覇を果たすなど、監督としての手腕が高く評価される高津臣吾氏。

 同監督はいかにしてスワローズを立ち直らせたのか。ここでは、高津氏の著書『理想の職場マネージメント 一軍監督の仕事』(光文社新書)の一部を抜粋。チーム構築の考え、そして村上宗隆への思いについて紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

高津臣吾監督 ©文藝春秋

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野手のブループリント

 投手陣についてはまだまだ整備しなければいけないことがあるが、野手に関しては想定以上に組織としての強みを出せていると思う。

 2022年の日本シリーズの打順を見てみよう。

中堅 塩見泰隆 (29歳)

左翼 山崎晃大朗(29歳)

二塁 山田哲人 (30歳)

三塁 村上宗隆 (22歳)

一塁 オスナ (29歳)

捕手 中村悠平 (32歳)

右翼 サンタナ (30歳)

遊撃 長岡秀樹 (21歳)

 年齢的なバランスも良く、これからまだまだ成長していく選手たちがそろっている。

攻守にわたって山田はスワローズの宝

 いちばん大きいのは、クリーンナップを固定できたことだ。向こう数年間は中軸について頭を悩ませる必要はない。

 いまのスワローズは、山田哲人あってのチームだと僕は思っている。バットで引っ張っていくのは当然として、忘れてならないのは守備力だ。2022年のシーズン、彼の守備はゴールデン・グラブ賞に値するものだと思っていたが、残念ながら受賞を逃した。WBCでも素晴らしい守備力を発揮していたし、これからもまだ受賞のチャンスはあるだろう。投票する記者のみなさんには、山田の安定した守備力を評価してもらえたらなと思う。