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 ところが、長岡はシーズンが進むにつれて、グングンうまくなっていった。内野守備コーチとも話したのだが、「若手はプレーする機会が増えれば増えるほど、うまくなる」のは間違いない。この法則は、プロに入ってから内野手にコンバートされ、三塁に固定したのが2021年シーズンの序盤だった村上にも当てはまる。最初はハラハラだったが、いまではずいぶん安定してきた。

長岡が成長できた“納得の理由”

 もうひとつ、長岡は頑丈だった。夏場に新型コロナウイルス陽性による欠場はあったものの、139試合も先発で出場した。長いシーズンを戦ったことのない若手の場合、夏場の暑い時期に入ると、試合前の練習段階から「動きがちょっと悪いかなあ」という時がある。長岡にもキツい時期はあったのかもしれないが、そうしたことを表に出さず、年間を通じて安定した力を発揮してくれた。体が頑丈なだけでなく、おそらくコンディションにも気を配っていたのではないか。

 体が強ければ、うまくなれるチャンスは飛躍的に増える。プロ野球の仕事は、試合に出続けることだけではない。試合前の守備練習でノックを受けることもその一部だ。夏場のノック、そしてレギュラーシーズン、緊張感あふれるポストシーズン、そうした時間をすべてこなしたからこそ、長岡は大きく成長できたのだ。ちなみに体の強さという点は、同じく2022年にブレイクした投手の木澤にも共通している。

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 2022年の秋、秋季キャンプで長岡のフィールディングを改めて見た時、彼の成長に驚いた。捕球までの型がしっかりしていて、捕球からスローイングまでの動作がきれいだった。

「あ、これはゴールデン・グラブを獲るの、当たり前だ」と思った。守備力に関しては、長岡はわれわれの想像を超えた成長を見せてくれた。

長岡を呼び出した日

 長岡の背番号は、2023年から7番に変わった。実力でレギュラーを勝ち取ったことと、期待も込みでひとケタの番号をつけることになった。

 長岡にとって、2022年は満点のシーズンだったと思う。それでもある日、彼を監督室に呼び出したことがあった。