文春オンライン

村上宗隆でも、山田哲人でもない…高津臣吾監督がシーズン中に監督室に呼び出した“意外な選手”とは「フルスイングできなくなったら、外すからね」

『理想の職場マネージメント 一軍監督の仕事』より #2

2023/05/17

「空振りでもいい。ファウルになってもいい。それでもいいからフルスイングしなさい。思い切ってバット振ってきなさい。それが岡ちゃんの仕事」

 そして、監督室で初めてLINEのIDを交換した。

 後半戦、長岡はその約束を守ってくれた。数字としては、打率.241、出塁率.273、本塁打は9本で、OPS(出塁率と長打率の総和)も.610に落ちついたが、相手の配球を読みながらフルスイングしていこうという姿が見えた。また、際どい球についてはカットしながら粘ることもできるようになっていった。長岡は成長した。

ADVERTISEMENT

四球よりフルスイングをしてホームラン

 長岡は四球が少なく(たしかに前半戦での四球数はわずか2個)、出塁率が低いと解説者のみなさんに指摘されることもあるが、8番打者だからそれでいいのだ。

 二死ランナーなしの場面で長岡が四球を選んだところで、次は投手が打席に入るのだから、チャンスが広がる確率は少ない。そんなことより、フルスイングしてホームランが出た方がチームとしては、はるかに良い。

 今後は打率、本塁打の数もアップさせ、打順を上げていってほしい。そうなれば、自然と役割が変わり、数字も変化するだろう。しかし、8番に長岡を置く限り、とにかくどんどんバットを振ってもらいたい。

ジェスチャーや表情から様々な情報を読み取る

 長岡との面談を通して分かったのは、「若手とは一対一で話し合った方がいい場合もあるんだな」ということだ。

 一軍に定着したばかりの若手は、いつも一生懸命に練習し、必死にプレーするので、調子の良し悪しや、なにを思っているかが分かりにくい。「いつも元気だな」と思うくらいだ。

 その点、ベテランは、顔が下を向いているなとか、いまは気分が良いんだなとか、ジェスチャーや表情からいろいろな情報を読み取ることができる。

 長岡と話したことで、懸命にプレーしている中で迷いが生まれることも再確認できたし、彼も自分の持ち味に自信を持てたのではないかと思う。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

村上宗隆でも、山田哲人でもない…高津臣吾監督がシーズン中に監督室に呼び出した“意外な選手”とは「フルスイングできなくなったら、外すからね」

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー