「立っている場所によって値段が違うんですよ」
あたりを見回すと、記者の少し先で立っていた女性も別の男性に話しかけられていた。立っている女性の数の数倍はいるとみられる男性が大久保公園前の路上でたむろしている光景は、夜の薄暗さと相まって、みるからに怪しい雰囲気を作り出していた。
数カ月前に大久保公園を訪れたという20代男性はこう話す。
「風俗が好きな会社の先輩がいて、たまにそういうところに行ったりするんですが、最近話題の大久保公園に行ってみようということになりました。先輩と一緒に行って、公園の前で立っていた女の子に声をかけました。女の子の言い値は2万円とホテル代別だったんですが、交渉して1万5000円で近くのホテルに行きましたね」
この男性はこれまでにも何度か大久保公園を立ちんぼ目的で訪れているという。男性によると、大久保公園周辺の各スポットによって、立っている女性の属性や価格帯が違うのだという。
「大久保病院を過ぎたあたりに外国人や50代の女性が立っているエリアがありますが、相場は比較的安いですね。たぶん1万円を切ってくるんじゃないかな。大久保病院の近くは割と若い子が多かったりで料金は高いかな」
記者も大久保公園やその周辺を歩いてみたが、ホテル前や自動販売機の近くなど、いくつか女性が立っているスポットが存在した。なかには未成年と思しき女性もいる。
新宿区は「見守ることしかできない」
前出の新宿区危機管理課担当者はこうも話していた。
「トー横キッズの諸問題を受けて、2021年12月からは人員を増やし、巡回活動を強化しています。最近ではトー横キッズが大久保公園周辺に立っていることもあり、公園周辺まで巡回エリアを広げています。警備員が22時から翌朝5時まで毎日巡回し見守り活動をしていますが、基本的には、未成年が犯罪に巻き込まれないようにすることが目的です。
新宿警察署と情報共有を行っているほか、必要があればその場で警察に連絡することもあります。ただ、区は取り締まる権限は持っていないので、基本的には見守ることしかできないというのが現状です」
公園での立ちんぼ行為は危険と隣り合わせであることは間違いない。いくら立ち話をしたとしても、その男性がどういう人物なのかを知ることは難しく、ましてや個室で2人きりになるのはリスクが常につきまとう。
需要と供給がある限り売買春がなくなることは難しいだろう。女性たちが予期せぬ被害に遭わないことを祈るばかりだ。