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 例えば、以前は貸切風呂を50分2200円で設定していて、子供連れのお客からは50分では短いという声があった。「すると社員から75分3300円にしたら、お客様も喜ぶし、掃除の回数が減りますと提案されました」。また社名入りの封筒は長封筒と小サイズの2種類あったが、「使い分けはしてないから1種類にするべき」という案が出たのも社員から。「このような小さなことの積み重ねが大切です」と社員の成長が嬉しい様子。

「マネジメントゲーム」は自ら気づき、課題を認識する力が身に付く。

「前は仕事を抱えてしまう子もいましたが、今では困った時に速やかにSOSを出せるようになり、手が空いている社員がサポートします。自分の仕事を終えたら困っている人はいないかを確認したり、助け合いの精神が生まれました」

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休業期間に「松本楼学校」を開校

 意識が変わり、自己資金を自分の夢に投資する社員も増えている。

 とかく旅館業は感覚で経営する「ざる勘定」とされてきた中で、「マネジメントゲーム」を取り入れたのは由起さんならではの発想で、現在は採用試験にも使っている。「本人の資質が見えますからね」

 その結果、時代のニーズに合わせて宿をバリアフリーに改修したり、新たに犬と泊まれる宿を準備するなど、積極的な設備投資ができるようになった。

社員発案のバリアフリー設計の一室

 他にも、コロナで休業を余儀なくされた約2カ月間は、社員全員を対象に「松本楼学校」を開校した。給料は全額支給、週5日、9時から18時まで接遇の基本から伊香保の歴史、SDGsについてみっちりと学んだ。