「精神疾患」と聞くと、精神的に弱い人がなるものだろうと思われるかもしれませんが、じつはそうではありません。身体醜形症の傾向があるようなタイプの方たちの多くは、エネルギッシュで、「こんな自分になりたい」「こうしたい」などの志向性も強く、負けず嫌いで頑張り屋さんです。
自分にとっての完璧な理想像があるために、その理想像を実現できずにいる自分に劣等感を抱いてしまう。つまり、自分自身に対してとても厳しい評価を下しがちだということです。
もちろん、完璧主義の傾向がある人がみんな身体醜形症になりやすいというわけではありません。ただ、自分に厳しく、つねに完璧を求めていると、他人からの小さな悪意やネガティブな反応がきっかけで、「自分は醜くて劣っている」という自己評価につながってしまうのも事実です。
ひとりではなかなか抜け出せない
一度そうした思考にハマってしまうと、ひとりではなかなか抜け出せない──というジレンマもあります。はじめは少し気になる程度だったのに、しばらくすると、自分の人生すべてに影響を及ぼす大きな欠点であるかのように思えてくるのです。もしかしたら、あなたも今、そんな気持ちになっているかもしれません。
ただ、身体醜形症の傾向がある人は、強迫的な思いにとらわれてしまっている自分自身を恥ずかしいと思っている場合が多いので、自分の悩みを人に打ち明けることに抵抗感があったり、戸惑いがあったりします。
誰にも打ち明けずに長いあいだ自分の容姿に悩むうちに、苦悩はさらに深まります。
「自分が醜い」というこころのとらわれから逃れるために、美容整形を繰り返したり、極端に食事をとらずに自分を律しようとする人もいます。
「自分の醜さ」を何とか改善しようとして、よけいに自分の顔や身体についての違和感や受け入れがたさを強めてしまうのです。