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逮捕されたヤクザの年齢はなんと…

 工藤會を追い込む一環なのだろうが、

 (そこまでやるか)

 と思いつつ、ひょいと被疑者の年齢を見て驚いた。なんと79歳なのだ。とっくに隠居している年齢ではないか。写真を見れば、前歯が何本か欠けている。高齢化問題は一般社会だけでなくやくざ社会にも深刻な影を落としているのである。

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 老後や将来に不安を抱き、「カタギになって人生をやり直せるものなら、そうしたい」と考え、私のところに相談に来るやくざは何人もいるが、「会長、わしらカタギになってもええけど、5年間通帳もつくられへんいうたら、やくざしてても一緒やんか」と言う。

 彼らがカタギになりたいと思っても、それを阻んでいるのが暴力団排除条例による「元暴5年条項」である。組を離脱しても、元組員はおおむね5年は暴力団関係者とみなされ、銀行口座の開設ができない。口座が開設できなければ、カード類もつくれない。クルマの購入など各種ローン契約はもちろん、保険の加入などもできないため、生活に支障を来すのだ。

 となれば、「カタギになる意味がないやないか」ということになる。

「カタギになれ」とすすめておきながら、「元暴5年条項」で縛りをかける当局のやり方はアクセルとブレーキを同時に踏むようなもので、これは天下の悪法というしかない。

 しかも高齢のやくざとなればカタギになっても働く場所がない。解体業や鳶職といった現場仕事はすぐにでも雇ってくれるが、若い者ならともかく、70を過ぎてからではまず無理だ。

「元暴5年条項」で縛りをかけられたうえに仕事もなかなか見つからないとなれば生活保護を受けるしかないが、月に13、4万円の支給額で生活するのが厳しいとなれば現実としてカタギになろうにもなれないのである。