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(ジャーナリスト松谷創一郎さん)

「報道がなかなかされなかったし、今回も民放もNHKも含めてかなり報道に抑制的なんです。私はこのことが一番大きな問題だと捉えている。

 特に民放が今も報道に抑制的であるということはある種の共犯関係だと考えている。このことは各社がちゃんと過去も含めて検証すべきだと思っている。民放のテレビ朝日、フジテレビは特にそうですけれども逃げないでちゃんと向き合っていただきたい」

(NHK総合「クローズアップ現代」5月17日より)

 生放送の中でゲストである松谷氏がコメントしたため、テレビ朝日やフジテレビの名前を出すことはNHK側も想定外だったかもしれない。

 ただ、テレビ朝日は様々な報道ネタを扱う長時間の番組である「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「大下容子ワイド!スクランブル」を抱えながら、ごくわずかしかこの問題を扱っていない。なかでも「ワイド!スクランブル」は視聴者から見ても不自然で露骨なほど徹底して扱わない。フジテレビも「めざましテレビ」「めざまし8」など長時間の番組でこの問題を避け続けている。

 筆者から見ても、松谷氏が特にこの2局を名指しした理由は同意できる。

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 NHKがこれまであまりしなかった他局批判にあえて乗り出したことは、それだけメディア側の責任を痛感しているからだろう。こうした変化は、社会的な問題を徹底的に議論しながらメディア同士の健全な関係を作っていくために望ましいことだと感じる。

第三者委員会を設置しないジャニーズ事務所への批判は今後強まる?

 ジャニーズ事務所は5月14日に発表した藤島ジュリー景子社長の動画と文書にて、ジャニー喜多川氏による性加害をめぐって第三者委員会の設置をしないとしている。被害者たちのプライバシーの保護を理由にしているが、それに対して信頼できる調査結果にはならないとして批判の声が強まっている。この日、「クロ現」でも第三者委員会を設置すべきだという意見が表明された。

(NHK総合「クローズアップ現代」5月17日より)

(松谷創一郎さん)

「第三者委員会を設置すべき。この問題がどうだったのかきちんと調べないとまた芸能界、あるいは日本社会でこの問題が繰り返されてしまう」

「クロ現」という“ヤマ”が動いた以上、報道の流れは加速し、ますますジャニーズ事務所や他のメディアの姿勢をタブー視しないものに変わっていくはずだ。動画やコメントを一方的に発表しただけで、質疑応答ができる記者会見を開こうとしないジャニーズ事務所への風当たりはますます強いものになっていくだろう。