――講演なども活発にされています。今後はどのようなことを訴えていくのでしょうか。
「セラピーとしてのセックスという考え方を浸透させていきたいですね。肉体的な満足だけではなく、精神的な充足を目標とするセックスのことです。普段抑圧している感情を解放し合ったり、お互いのカラダが求める心地良い感覚で満たし合う事を目的にする事でセックスは全く違うものになります。
というのも、男も女もひとりよがりなセックス観に囚われているからです。男性は日常のストレスのはけ口に女性を物のように扱ってしまいがちで、女性は男性からカラダを求められる事を女としての価値を確認する行為として利用しがちです。どちらかのエゴに偏ったセックスをしていると、互いに辛い想いをしてしまう可能性があり、心のすれ違いに繋がります。今のお互いにとっての感情的な利益がどこにあるのか? 思いやりと理解を持って育んでいくのがセラピーとしてのセックスです」
社会はLGBTに優しいと実感している人は少なくない
――最後に、LGBT法案についてはどのように考えていますか
「政治が現在のように、性そのものをセンシティブに捉えがちなのは個人的に違和感があります。これではLGBT当事者が『自分の性自認のズレが生きづらさを作っている』と思い込んでしまう恐れがあるからです。今の社会でも十分、LGBT当事者の努力次第で、自分のありのままの性を理解して貰える環境を作っていく事は難しくないと仲間内でも話しています。すでに社会は私達に優しいと実感している人は少なくないんです。
だからもしLGBT当事者の方でなにかしらの生きづらさを感じている場合は社会のせいにし過ぎずに自分の努力次第で、もっと生きやすい環境を手に入れるという可能性にもしっかりと目を向けるべきだと思います。少し厳しい言い方かもしれませんが」
『多目的トイレ』の多さに感動することも
――まだまだ社会の理解が追い付いていないとお感じになることはないですか。
「話題になっている専用トイレの件に関しても『多目的トイレ』の数がもう少しだけ増えればと思う事はあれど、逆に『多目的トイレ』が設置されている場所の多さに感動する事もありますからね。ひと昔前とは段違いで理解が進んでいるとひしひし感じます。
性自認の判定に対しては、個人の認識ではなく従来以上にジェンダークリニックでのカウンセリングを重ねてジャッジをしていかなければならないと思っています。立場を悪用する人が出てくる可能性はどうしても残ってしまうので。現に文春さんも取材していましたが、大阪で事件もありました。犯罪の手段に使われることは絶対に許せません」
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