渋谷のビジョンで発信し続けていたメッセージ
そんなサブロー二軍監督の気配りの一端に、ひょんなことから触れる機会があったのでぜひ紹介したい。
筆者は週刊プレイボーイ(集英社)で「激ウマ!! バカレシピ研究所」というしょうもないコラムを連載しているのだが、先日連載200回を達成し、なんと読者さんから渋谷・宮益坂にある『渋谷愛ビジョン』という縦型街頭ビジョンでお祝いのメッセージを送っていただくということがあった。
本当に作者冥利に尽きるありがたいプレゼントに感動し、その様子をYouTubeでの配信でチェックしていると、立て続けにこんなメッセージが流れてきた。
「C.C.メルセデス 勝ちがつかなくてもいつも良い投球をありがとう きっと大丈夫!頑張れ」
渋谷のど真ん中でなぜか流れるメルセデスへの激励メッセージ。えっ、すごいけど、どうしてメルセデス……? なんだか理解が追いつかない!
この『渋谷愛ビジョン』では毎日12時から20分間を『渋谷愛メッセージTIME』と称して、誰かに感謝や祝福の気持ちを届ける“愛メッセージ”を一般募集しているのだが、なぜこんな場所でメルセデスへのメッセージが流れるんだろう……。
気になってTwitterの公式アカウントに問い合わせてみたところ、衝撃の事実が判明した。なんと、このメッセージの送り主はサブロー二軍監督だったのである。
メルセデスはシーズン序盤、好投してもなかなか援護に恵まれない日が続いていた。そんなメルセデスに向けて熱い激励のメッセージ。しかもサブロー二軍監督からのメッセージということはあまり大っぴらにせず、街頭ビジョンでさりげなく発信する。本人が直接見る可能性は低いだろうが(そもそも日本語も読めないだろうし)、何らかの形で本人まで伝わったらこんなに嬉しいことはないのではないだろうか。
しかも、このサブロー二軍監督からのメッセージは現役時代の代名詞“繋ぎの4番”にあやかって、1年以上に渡って毎日休むことなく4番目に流されているというのだから驚きだ。慌てて過去のメッセージを遡ってチェックしてみると、二軍から一軍に昇格していった選手たちや若手選手へのメッセージが出るわ出るわ……!
「千葉ロッテマリーンズ平沢大河 ドラ1の実力を存分に発揮しろ 応援してる 燃えろタイガ」
「千葉ロッテマリーンズ池田来翔選手 練習は嘘つかない 自信を持って大暴れして来い 頑張れ」
「千葉ロッテマリーンズ茶谷健太選手 2代目つなぎの4番襲名でチームに勢いをつけてくれ」
次々に見つかる熱いメッセージに思わず鳥肌が立ってしまった。サブロー二軍監督はこんなにもチーム全体を見据え、愛あるメッセージをマリーンズの選手に向けて(ときには他球団やメジャーリーグ、さらには他のスポーツ選手などに向けつつも)毎日途切れることなく発信し続けていたのである。
そういえばサブロー二軍監督は現役時代も自らはあまり目立とうとせず、陰からチームを支える選手だった。このさり気なさが実にサブローらしくてウルッときてしまう……。
もちろん二軍の現場ではビジョンで発信している以上に、選手を熱く一軍に送り出していることは想像に難くない。一軍ですぐに出番を与えられる若手選手にとって、それは強く背中を押してもらえるメッセージになるだろうし、活躍の後押しになっていることは間違いないだろう。
一軍と二軍の架け橋になり、マリーンズの躍進を支えるサブロー二軍監督。秋にはその架け橋が栄光の架け橋となり、サブロー二軍監督の夢『マリーンズを日本一のチームにする』が叶うことをますます期待せずにいられなくなってしまった。
今後も二軍から上がってくる選手の活躍と、『渋谷愛ビジョン』で直接発信される愛メッセージを楽しみにしていきたい。
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