使用したタックルと釣り方は…
アオウオ釣りには、イシダイ専用タックルを流用する。
104cmのソウギョを釣った時は粘りの強い投げ竿を使用したが、160cm・50kgまでの巨大魚を想定すると、磯からイシダイを強引に寄せる強靭なロッドと剛性のあるリールが必要だ。またメインラインもナイロン18号を使用。
・ロッド:レジェンダー豪腕石鯛500MH(プロマリン)
・リール:シーライン 石鯛 40(ダイワ)
・石鯛竿受(昌栄)
・硬形態 チタンピトン
餌はタニシを使用するが、自身で採取するとなるとそれだけで日が暮れそうだったので(実際1時間で10粒ほどだった……)、漁師さんから3kg購入した。
タニシの餌付けは、海釣りのやり方とはまったく異なり、コイ科の魚特有の吸い込む性質を利用した特徴的な付け方だ。
伊勢尼針15号に、根ズレに強いザイロンやイザナスなどの繊維系ラインを結ぶ。端糸を長めにとっておき、そこに鮎の友釣りで使われる鼻かんを取り付ける。ここにキリで穴をあけたタニシを通す。
直接針に餌を通していなくても、アオウオが川底に転がるタニシを吸い込むと、針も一緒に吸引される吸い込み仕掛けだ。仕掛けを駆け上がりポイントに投入したら、その周りに柄杓でタニシを適量撒く。あとはドアチャイムを改造した「自作センサー」が鳴るのをひたすら待つのみ!
待ち時間の過ごし方がアオウオ釣りの醍醐味
海釣りであれば30分に1回は仕掛けを回収し、3時間アタリがなければ場所移動を考える。しかし、アオウオ釣りは一度仕掛けを投げたら3時間は放置。1日アタリがなくても撒き餌をして3日はやり通す……。こんな常軌を逸したスタイルの釣り師が多いと聞く。
竿先を眺めながらアタリを待つにはあまりにも長すぎるため、待ち時間の過ごし方こそがこの釣りの醍醐味になる。実際に下見中に遭遇した青師(アオウオ狙いの釣り師)には、ハイエースを車中泊カスタムして生活している方や、現地でビーチチェアに寝そべりながらラジオを聴くフリースタイルすぎる方までいた。
私はテントを張って昼食はカップ麺を食べ、夕食は肉を焼いた。凝った料理でなくても、とにかく外で食べるご飯は普段の何倍も美味しく感じられた。
アタリがなければただ時間だけがすぎていくが、川の流れの変化や陽の傾きで周りの景色が移ろう様子は、自然に身を置くからこそ敏感に感じ取れる。非日常的な体験がアオウオ釣りの魅力といっても過言ではない。
1秒後にはアオウオがヒットするかもしれない緊張感も退屈させないスパイスになっている。自分でも驚いたが、あっという間に2日間の釣行が終わった、が……。
なんの成果も!! 得られませんでした!!(秋に続く)
釣れそうな雰囲気満々である
アオウオのシーズンは、春の産卵が絡んだノッコミパターンに加えて秋にも釣れるということで、約半年後の2021年10月、再び調査に向かった。川のカーブの外側でテトラポッドが沖合5mほど積み重なった教科書通りのポイント。テトラポッドの先は水深が3mほどで、岸際ではタニシも確認できた。釣れそうな雰囲気満々である。
この日も夜食は肉! 鶏もも肉を一口サイズにカットし、申し訳程度の長ネギと一緒に串を通したら炭火で焼く。できあがった焼き鳥をハイボールで流し込む。なんという至福。
普段は釣果至上主義だが、釣れない時間を楽しむことこそ焦燥感から解放された釣りの原点ではないだろうか。今回も2日間竿を出し続けたが、アタリはおろか魚影すら確認できず。
なんの成果も!! 得られませんでした!!
しかし、ここまで完全に沈黙していた「自作センサー」が、ついに鳴り響く瞬間がやってくる……。