釣りの楽しみ方は様々だが、私が最近ハマっているのは「餌代0円釣行」である。現地で採取した生物で魚を釣るというすごくシンプルな釣りだ。
この釣りの良さは、餌を現地調達するサバイバル感を味わえることと、虫餌を2パック買うか1パックで攻めるか、釣具店のレジ前で行われる極限の“節約精神”から解放されることだ(いつもケチって1パックにして後悔する)。
さらに金銭面だけでなく、ターゲットの選定や釣り方に至るまで、釣り自体の趣向を凝らすことにタダ餌釣行の面白さがある。今回は身近で採取できる生物を使った「餌代0円釣行」で果たして何が釣れるのか? 一連の検証をレポートしていく。
磯遊びの常連「カメノテ」…その正体とは?
今回、餌に選定したのは「カメノテ」。
貝っぽさもあるが、実はエビやカニの仲間である甲殻類だ。一部では「磯の珍味」とも言われ、市場に流通することもある。磯や漁港に群生しており、文字通り「亀の手」に似ていることからカメノテと名づけられたそうだ。では、本当に似ているのか、いくつかの亀と比べてみることに。
まずは子どもの頃、近所の用水路でよく見たミシシッピアカミミガメと比べてみると……。
爪の感じが少し違う気もするが、腕の辺りは確かに似ている。
では、房総半島でも見るようになったウミガメはどうか。
こちらはそもそも海で泳ぐために手がオール状になっており、まったく見当違いであった。
ではリクガメはどうか。
太くて大きな爪が並列する様子、そして腕をおおう分厚い皮膚がカメノテに近い。何より力強さがある。他にそっくりな亀がいるかもしれないが、おおむね亀で間違いない。先人を疑ってしまい申し訳ありませんでした。
釣り餌を確保せよ
さて、釣行予定日がまだ春とは言えない3月上旬であったため、釣り場は海水温が暖かい伊豆大島に決めた。現地でカメノテが採取できないリスクを避けるべく、あらかじめ本土で採取に向かった。
磯に行けば無意識のうちに視界に入っているカメノテだが、探してみると同じ甲殻類のフジツボばかりで、意外と生息エリアにムラがあることが分かった。