主導権を維持したまま海面まで巻き上げてくると、浮き上がった魚はなんと高級魚であるイシガキダイ!
カメノテすげー。
体長が大きくなるに連れ灰褐色に変化する一方で、口の周囲は白くなるため「クチジロ」と呼ばれる。同じイシダイ科のイシダイは口が黒くなるため見分けがつく。今回釣れたサイズは35cmほどだが、過去には神奈川県でも40cmに迫るイシガキダイが釣れている。
脂質が異常に高く旨味の強い魚でもあることから、「映え」「釣り味」「食味」の三拍子が揃った憧れの魚だ。交通費はかかったものの、タダ餌で高級魚を釣ることができた。この代えがたい満足感こそ餌代0円釣行の真髄でもある。
想定外過ぎる怪物がヒット
翌日、移動した先の漁港のスロープでカメノテを追加して釣りをスタート。たびたび突くようなアタリが出るものの、伊豆大島のアイドル(自称)イシガキフグであることが判明。
微笑ましい釣果である意味平和に終わると思えたが、足元にはとんでもない魚が忍び寄っていた。
大きめのカメノテを少し投げて沈めていくと、途中から沈む力とは明らかに違う重量感を持った生物に引っ張られていることに気が付いた。少し送り込んで合わせると、今度は手元から竿をぶち曲げる大物がヒットした。
竿を持ち上げても一切動じず、むしろ身体ごと海に引きずり込む勢いで走り出した。
竿が折れるか、ラインが切れるか……。一瞬、ばてたように感じたが直ぐに海底まで走られ一向に浮上しない。
ジリジリとラインを出し続けられたところで切れてしまった。
「やられた……」
まったく敵う相手ではなかったのだろうか。せめて魚種だけでも確認できればここまで落ち込むことはなかったかもしれない。その後は小型のイシガキダイを追加したが、逃した大物が再び姿を現すことはなかった。しかし、カメノテの釣魚力は間違いないことが検証できた。
あの魚の正体はなんだったのか…
後日、同じ場所で釣りをされた方が、どうしても獲れない大物がいるので水中カメラを入れたところ、画面端に大きなコブの出た魚が写り込んでいた。
これは間違いなくコブダイだろう。コブが出るほど成長しているということは、雄に性転換した大型に違いない。