第2候補地は潮がかぶる人工物。テトラポッドや岸壁の切れ目が代表的だが、採取が困難であったため、干潮時に露出するコンクリートでできた段差に向かうとすぐに発見できた。
完全に露出して干からびたように見えるが、石灰質でできた殻板に海水を閉じ込めているので乾燥はしないそうだ。一度根を張ったら不動ゆえの進化か。
採取に必要な道具は少し柄の長いマイナスドライバーのみ。
付け根に刺してタケノコを地中から押し上げるようにテコの原理を加えると、ぽろっと簡単に採れる(※漁業権が設定された地域もあるので注意)。
今度は橋の支柱にできた溝に群生するカメノテを獲ると、見事な成長っぷりであった。
人工物の切れ目に奥行きがあればあるほど殻板下の柄(身の部分)が成長するため、まるで樹高のあるソテツに見える。
ここまで肉付きが良いと、餌にするのがもったいない気さえしてきた。局所的に獲り尽くさず、数ヶ所にわたり大き目の個体だけを確保した。
カメノテを持って伊豆大島へ
竹芝桟橋から出発する大型船に乗って伊豆大島へと向かった。
翌日6時に到着すると、風速14mかつ豪雨という地獄のような天気であった。
それでも雨が止んだタイミングでカメノテの追加捜索を試みたが、歩いて回れる漁港やゴロタでは一つも見つからなかった。事前に採取していなければ、離島観光で終わるところだったかもしれない。
釣り方は、ラインに針を結んでカメノテを足元に落とすだけの落とし込み釣り。本来はクロダイを狙う釣りだが、想定外の魚が潜んでいるため対大物用のナイロン5号(約9kgの強度まで耐えられる)を巻いて挑んだ。
いきなりヒットした大物の正体は…?
カメノテは皮に切り込みを入れて、魚が食べやすいように肉を露出させた。
また堤防際から自然に落とすため、オモリを使用せず殻板の重さだけで沈めた。
初めの30分はアタリもなく、餌としての魅力がないのかと思われたが、突然竿先をゆっくりと引っ張るアタリが出た。強風のせいで波なのかはっきりしないまま合わせてみると気持ちよく竿が曲がった。