3日間の予定を組んだ初日は9時から竿を出して、ゆったり座れるアウトドアチェアに腰を掛けてアオウオのアタリを待った。
静かな川面に時折コイが跳ねる音が響く。小さなコイが戯れている様子を眺めていると、少し沖の方で得体の知れない黒くて大きな魚体が「ぬーん」と水面を割って出てきた。
大きくてコイとは違う縦長の背びれがはっきりと見えた。間違いないアオウオだ。50mほど離れた位置からでも、その大きさが普通ではないことは一目瞭然であった。いるぞ!
仕掛けの投入点から離れていたが、警戒されないようにそのまま仕掛けは動かさず周りのエサに気付いて近づいて来ることを願った。しかし無情にもセンサーがなることはなく、その日はそれきりアオウオが姿を現すことはなかった。
翌日、同じ時間帯に差し掛かると、またしてもアオウオが跳ねた。今度は仕掛けが届く近場で確認できた。
10時~12時の間に合計3回(カメラに収録されたデータでは、さらに5回ほど写り込んでいた)。まさにアオウオの乱舞だ。たまたま目の前を回遊しているだけなのか? それとも撒いたタニシに寄ってきて捕食を行っているのか? 理由は分からないが、ただ仕掛けのタニシを食べることはなく、2日目も大チャンスをものにすることができなかった。
最終決戦、ついに竿先に反応が…
3日目は同じ轍を踏まないように仕掛けを変えてみた。これまでハリスには繊維系のラインを用いていたが、メインライン同様にナイロン18号で組んだ。
桿体細胞が発達した魚は明度を認識しやすいため、これまで仕掛けを見切られていたのではないかと疑ってみた。そこで透明にすることでより警戒心を抑える戦法だ。
強度が落ちるため根ズレの心配もあるが、ヒットに持ち込めない以上は仕方がない。岸から20mほどの位置にタニシをたくさん撒いて、その時を待つ。
すると、この日も目の前でアオウオが跳ねた。
これまで見た個体で一番大きく、何より目が合うほど近距離であった。同時刻に回遊する習性があるのだろうか。固唾を呑んで見守っていると竿先がくいっとお辞儀した。
来た……!