しっかり飲み込むまで慌てずに、タモややり取りする立ち位置の確認を行った。そして、ついに握りしめていたドアチャイムの受信機が鳴った。仕掛けを咥えて走ったため、冷静にドラグを締めてしっかり合わせを入れると、根がかりにも近い重い「何か」がかかっていた。
長年追い求めたアオウオが姿を現した
近海の大物ならほとんど対応できるイシダイロッドがキレイな弧を描くほどの重量感。こちらの抵抗をものともせず、自身の進みたい方向へ泳ぐ落ち着きぶりに強者の貫禄が見えた。
しかし、こちらも好きにさせるわけにはいかないので、竿を立てて必死に抵抗する。元気なうちに足元まで寄せても、テトラ際の攻防でラインを切られる恐れもある。沖で均衡を図りたいところだったが、それを察したのか足元のテトラや右手にある杭まで急接近される。大きな魚は釣られた時の逃げ方を知っているとは言われるが、まさに長寿のアオウオだけあってラインを切る術を知っているような行動にもとれた。
そうなると、一刻も早く浮上させて空気を吸わせて動きを止めたいところだが、水面を察すると急に暴れだし沖へと走る。やり取りを誤ると自身が川に引きずり込まれるほどの力強さ。そして見たこともない大きな魚体。これがアオウオか……。
水面が爆発したような大きな飛沫を上げて何度も抵抗するが、最後は諦めて素直に寄って来た。
背中は微かに青を帯びた淡い紫が広がり
流木でも引っかけたくらい重い魚体を引き寄せてネットイン! テトラをかわして陸揚げに成功した。ついに幻の巨大魚アオウオを釣り上げた!
何という大きさ……。計測したところ135cm。
もちろん、海水魚を含めて自己最高のサイズだった。我に返ると10kmマラソンをやり終えたほど息切れをしていたことに驚いた。中国四大家魚を知るまで、こんな大きな魚が日本の川で釣れるなんて思ってもみなかった。
間近で見ると背中は微かに青を帯びた淡い紫が広がり、「青魚」という名に相応しい魚体であった。