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噴石に潰され、左ひざはちぎれかけていた…58人が死亡した「戦後最悪の火山災害」で生存者が見た悲惨な光景

source : 提携メディア

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先にも少し触れたが、気象庁は、国内の50の常時観測火山の活動状況について、最新情報をウェブサイトにて発表しており、「火山概況」「噴火警報・予報」「噴火速報」「降灰予報」「火山ガス予報」などをチェックすることができる。

別枠で「火山登山者向けの情報提供ページ」も設けられているので、対象火山に登る際には、事前に最新情報に目を通しておくといい。火山によっては、噴火警戒レベルのリーフレットやハザードマップ(火山防災マップ)も要チェックだ。ハザードマップは、防災科学技術研究所の「火山ハザードマップデータベース」のウェブサイトで検索できる。

実際の登山にあたっては、噴火に遭遇することを想定した装備も携行したい。噴石などから頭部を守るためのヘルメット、火山灰が目に入るのを防ぐゴーグル、火山灰の吸引を防ぐためのタオルは必携だ。また、御嶽山の噴火では、犠牲者や行方不明者の身元確認に手間取り、混乱を招くという事態が起きた。登山以前の準備として、登山届は必ず提出しておこう。

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「いつ噴火に遭遇してもおかしくない」と認識して登る

そして最も重要なのは、火山に登る以上、いつ噴火に遭遇してもおかしくないという認識を持つことだ。無警戒だった火山が突然噴火することは充分起こりうることであり、事前にいくら情報を収集したとしても、噴火に遭遇することを防ぎ切れるものではない。

以前、噴火警戒レベルが1で火口から500メートル以内への立ち入りが禁止されている浅間山に登ったとき、警告板を無視してロープを越え、火口付近へと立ち入っていく登山者が少なからずいた。噴火後の御嶽山では、立ち入りが規制されている警戒区域内に入り込む登山者があとを絶たず問題になった。噴火警戒レベルが2の霧島連山・新燃岳では、入山規制中のエリアに立ち入った登山者の遭難騒ぎが起きたこともあった。

まさか、この瞬間に噴火するはずはない……、それがごくふつうの認識であり、「噴火するかもしれない」と思っていたら、まずその山には登らないだろう。数十年~数百年という噴火の周期のなかでは、前回の噴火でどれほど多くの犠牲者が出ようと、悲しいかな人はその記憶をいつか忘れてしまう。御嶽山の噴火の記憶にしても、あと10年、あるいは20年したら、すっかり忘れ去られているかもしれない。