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噴石に潰され、左ひざはちぎれかけていた…58人が死亡した「戦後最悪の火山災害」で生存者が見た悲惨な光景

source : 提携メディア

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なお、御嶽山噴火を受けて2015年に改正された活動火山対策特別措置法は、全国49火山の周辺自治体に対して、「避難促進施設」の指定と「避難確保計画」の作成を義務づけている。避難促進施設は、火山噴火の際に登山者や観光客らが逃げ込める施設で、山小屋やホテルなどの宿泊施設、ビジターセンターなどが対象となる。それらの各施設が退避方法などを決めたものが避難確保計画だ。

ただし、人手やノウハウが不足していることから、2022年3月末時点で施設の指定が済んでいるのは全体の3割ほどで、そのうち計画を作成済みの自治体は55パーセントしかなかった。近年噴火が起きていない地域の作成率がとくに低く、総務省は2022年9月、防災担当の内閣府に対して、市町村への周知徹底やノウハウ提供に努めるよう勧告した。

羽根田 治(はねだ・おさむ)
ノンフィクションライター
1961年埼玉県生まれ。おもな著書に『ドキュメント 生還』『ドキュメント 道迷い遭難』『野外毒本』『人を襲うクマ』(以上、山と溪谷社)、『山の遭難――あなたの山登りは大丈夫か』(平凡社新書)、『山はおそろしい――必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難』(幻冬舎新書)などがある。
噴石に潰され、左ひざはちぎれかけていた…58人が死亡した「戦後最悪の火山災害」で生存者が見た悲惨な光景

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