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「障害者だからと我慢しない」「気持ちをぶつけないと伝わらない」個性豊かな清掃スタッフを束ねるサポーターが心がけていること

source : 提携メディア

genre : ビジネス, 働き方, ライフスタイル

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すると、はい、分かりましたという返事が戻ってきた。

時に仕事で手を抜くスタッフには注意することもある。

「重たく言っちゃったら、(精神的に)抱えこむなっていうタイプの子もいる。そのときは、おちゃらけて、“ねぇ、先生、ちょっといい加減にしてくれないかしらー、ここ散らかってますよ”とか、コメディチックに注意したり。すると、分かりましたってにこって笑ってくれる」

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やがて就労者支援センターの担当者が言ったことは正しかったと確信するようになった。

「こちらが(障がいがあるからと)遠慮したり我慢したりして、何も言わんようになったら、本人がしんどくなっちゃう。

我が家の息子2人と同じ接し方をするようにしました。いいことはいい、悪いことは悪いと言う。みんなにはしっかりと見てやるけん、第二の母と思いなさいって言ってます」

不備があれば指摘はするが、頭ごなしに否定はしない

朝9時に部屋の掃除が終わると、再びスタッフが坂川の元に集まる。次は部屋以外、トイレ、洗面台、廊下、階段の掃除が待っている。

「だいたい1人で(管理棟の)1階と2階、3階と4階とか、2フロアを担当するんです。私は、何これーっ、手ぇ抜いているよー。これやっていないんじゃない? 疲れてるの? 今度はやろうなとかいう風に確認して声を掛けていくんです」

不備があれば指摘はするが、頭ごなしに否定はしないことを坂川は心がけている。そして、14時50分に全員集合、仕事は終わりとなる。

「どこそこの汚れが気になりますとか、自分では落とせませんでした、時間内にできませんでしたといった報告をしてもらうんです。

できていない場合は翌日、近くのフロアの子で誰か応援してくれないかという話をします。誰も志願者がいない場合は強制的に指名。みんなが不公平に思わないように分担してもらいます」

スタッフを帰した後、坂川は一人でもう一度、現場を見て回ることにしている。その後、買い物をして帰宅する。

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