「絵のない」ではなく「えがない」絵本。タイトルは微妙な違いだが内容はアンデルセンのそれとは大違い。「この ほんの ルールを せつめいします かかれている ことばは ぜんぶ こえに だして よむこと」という前振りの後にはユニークな擬音やフレーズが目白押し。子供に読み聞かせれば絶対に笑うという触れ込みは伊達ではない。
「アメリカでヒットした本ですが、英語から日本語に翻訳した際、日本の子供が笑う本になるかどうかが気がかりでした。翻訳をお願いした大友剛さんは、全国の幼稚園や保育園で年間およそ250回も絵本の読み聞かせを行っている方。その機会を活かして、今回は本にする前に子供たちの反応を検証していただきました。ウケがいまいちだった箇所を修正し、訳文に磨きをかけたことがヒットに繋がったと思っています」(担当編集者の窪木竜也さん)
日本版ならではの工夫として、活字のサイズや色、フォントの種類を変え、視覚的なおもしろさを盛り込んだ点も挙げられる。丁寧なローカライズが勝因か。
「対象年齢は4歳から6歳なのですが、もっと小さなお子さんや小学生も爆笑しているそうです。また、親から子への読み聞かせだけではなく、友達同士で読んだり、きょうだいの上の子が下の子に読み聞かせるといった子供同士のやりとりも生まれている点が、他の絵本にはなかなかない特徴だと思います」(窪木さん)
2017年11月発売。初版5000部。現在16刷18万部