私は気になっていた買収資金の出所を聞いてみたところ、自らは調達していない、依頼者が別にいて、そこが指示を出し、要望を受けて動くのだという。その依頼者と呼ばれる者のおおよそを聞いたが、そこには土地買収の大金があるとは思えなかった。そのまた先(バックボーン)を知りたかったが、教えてもらえなかった。
海岸部がほしい理由
彼らによればこのところの買収の特徴として、海岸周辺の需要が増えているという。風力発電のためだ。私もかねてピンポイントで各地の海岸部を欲しがっているグループがいると見ていた。
欲しがる理由として考えられるのは二つ。
一つ目は、防衛上不可欠なレーダーがもつ機能を電磁波によって低下させようという狙いだ。風力発電装置を使って妨害する。これは決して私の思いすごしではない。
防衛省は「風力発電設備が自衛隊・在日米軍の運用に及ぼす影響及び風力発電関係者の皆様へのお願い」(2022年4月28日)という通知を風力発電事業者向けに出している。悪影響を及ぼす風力発電設備が各地に敷設されていくことを警戒している。
海底ケーブルの陸揚げ局が必ず入るように土地を購入
二つ目の理由は、海底ケーブルがらみである。
今日、海底ケーブルは国際通信の重要インフラになっていて、世界では国際データ通信の99%が海底ケーブルを通っている。いわば国家の生命線だ。データの安全性やリスク回避を徹底するなら、海底ケーブルと通信のデータセンターは物理的に安全にしておかなければならない。
そういった重要インフラに関心をもつグループがあるのではないか。各地でそれを押さえにかかっていることが複数の登記簿からも読みとれる。
情報収集を任されている地上げ情報担当の一人はこう説明してくれた。
「海岸線に近い用地を頼まれたら、海底ケーブルの陸揚げ局も意識して、そこが必ず入るよう土地を買っていきますよ」