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タワマンが林立する下町エリアの「弱点」

 物件を内見するときは、日当たりなどを確認するために時間をずらして2回行くべき、と言われる。同様に、穏やかそうな商店街でも昼と夜で雰囲気が一変することはあるので、何度か通って確認しておいたほうがよさそうだ。

 また、意外に要注意なのは下町エリアなのにタワマンが乱立しているような、「シン新興住宅地」だという。

「例えば、駅の北口方面にはタワマンが立ち並び、オシャレな雑貨屋やパン屋さんなどが出店している。でも南口には昔ながらの商店街が健在で小さな飲み屋などが多くあり、在住歴の長い方々が暮らしている。こういうエリアは、タワマンで入居してきた新興と、昔から住んでいる層が、世代的にも消費志向的にも交わらない。

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 その境界線を越えた場所にうっかり住んでしまうと、お互いに『住みにくい』というクレームが出てきます」

©AFLO

 利便性や物価なども大事だが、その街に住んでみて、いちばんストレスになる確率が高いのは、やはり「隣人」のようだ。

「いろいろな地域の、様々な不動産の仲介をしてきた経験から言うと、『隣人がうるさい』とか、細かいクレームをつけてくる方が住んでいるのは、相対的に安価な物件です。家賃相場の高いエリアに住んでいる方からは、理不尽なクレームを聞きません。言い方は悪いですが、ある程度の家賃を払うことで、隣人トラブルは回避できると思います」

 こうして要素を挙げてみると、「住みやすさ」の指標として重要なのは、利便性などではなく、その地域と自分との相性のようだ。街に罪はない。周りを見回して違和感を感じたら「住んではいけない」のかもしれない。