周囲を見渡すと、スタンドはA、B、Cの3つしかない。かつてはD、Eも加えて5つのスタンドがあったが、今回は設置されていないという。報道席の前には各都道府県の自衛隊地方協力本部が連れてきた招待者が座っていたが、それでもスペースには余裕があった。招待者枠も絞っているとのことだったが、今回各地方協力本部が連れてきた招待者は例年より若い人が目立ったように見えた。募集活動に繋がる人達に絞ったのだろうか。
今回は違う場所だったようだが、以前の総火演では報道席の近くに各国駐日武官用の席が用意されていた。以前は会場で外国の軍人を見ることも多かったが、その武官招待者も今年は縮小されているという。これからは妻子と思わしき人を連れて、家族で観覧していたロシア武官も見られないということか。しかし、招待客は絞ったにも関わらず、防衛大臣だけでなく、環境大臣と法務大臣の3人も閣僚が来場したのには驚いた。昔は防衛庁長官も来なかったのに。
スタンドの裏を覗くと、余裕のあるスペースを自衛隊員が行き交っている。一般公開がなされていた頃、スタンド裏には売店が多数設置され、弁当や飲料、土産物を販売し、人気店には行列ができていた。その行列の後ろの狭いスペースを大勢が歩いていたのが、すっかり様変わりしている。
「自衛隊員が現代戦の様相を学ぶ場としての総火演」へ
なによりも大きく変わったのは、スタンド前にあるシート席の光景だ。緑一色。自衛隊の生徒だらけだ。一般公開時もカラフルな一般客に混ざって、緑一色の区画もあったのだが、今回は見渡す限りの緑である。
コロナ禍以前、総火演は本番の日に加えて数日行われる予行日も公開されていた。自衛隊の生徒はそういった日に分散して参加していたが、今年の公開は1日だけ。数日に分散していた生徒が1日に集約されたことで、緑一色となっている。