一瞬も、緊張感が途切れない作品
俳優陣の熱演からも目が離せない。まず光るのが子役の2人だ。
是枝裕和 監督:
非常に複雑な葛藤を抱えた役だなと思っていたので、いつものように子どもの個性を作品の中に移植して、口伝えでセリフを伝えながら言ってもらうというようなアプローチではない方がいいなと。事前に台本を渡して、湊(みなと)と依里(より)という役柄を一緒に作っていこうという、そんなアプローチを一緒にやったつもりです
是枝裕和 監督:
全然セリフのようには聞こえてこないっていうんですかね。ちゃんと作品の中で生きてくれていて、本当に素晴らしい2人だったなと思います
そして日本をけん引する実力派俳優が出演。
安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、高畑充希、角田晃広、中村獅童など多彩な豪華キャストが集結する。
是枝裕和 監督:
一瞬も弛緩(しかん)することのない、本当に僕が観客として見ていても緊張感が途切れない作品になっていて、それはやっぱり役者の力だと思います
中でも、安藤サクラさんは「万引き家族」に続いて2度目の是枝作品への参加である。
是枝裕和 監督:
安藤サクラは一緒に答えを探す作業を楽しめる役者さん。そこが魅力。彼女がたどり着く場所というのが、ある種、僕の想像を超えてくるので、まだまだ先へ行けるような気がします
坂本龍一さんの音楽と不思議な共振
そして音楽は「ラストエンペラー」でアカデミー賞を受賞し、海外でも活躍した坂本龍一さん。
2023年3月に71歳で逝去し、この作品が手がけた最後の映画音楽となった。
是枝裕和 監督:
まだ仮編集でしたけど、編集したものに坂本さんの既成曲を仮あてしたものを送らせていただいて、お手紙を添えて依頼しました。見ていただいて「とてもおもしろかったので引き受けますが、映画全体の音楽を作る体力は残っていないので、1、2曲作ってみるので気に入ったら使ってください」というお返事がきました。結果的に2曲作っていただきました