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 おそらくミソジニー(女性嫌悪)バイアスの強いこの国では、女性たちが女性目線で結婚相手にセックスの相性を求めることが許されなかったのだろう。

一番センシティヴな問題を回避するうち、離婚や不倫に繋がってしまう

 いまだにアイドルに処女性とか清楚さとかを求める日本の中高年男性たち。彼らは自分たちが関係性の主導権を握っていないと、性的アイデンティティが崩壊してしまうのだ。

 だから妻たちは夫を傷つけないように感じないセックスを隠して演技するし、それについて夫と話し合うことを避ける。

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 一番大切なことが一番センシティヴだから、お互いに話すことを回避する絶対的なタブーになってしまう。

 結果、セックスレス、不倫、熟年離婚へと繫がっていく。

 むしろマリさんのように、正面から相手にこの課題をぶつけたほうがずっと解決に近づくはず……なのだが、なぜうまくいかないのだろう。

「ただでさえ男は自分のがんばったセックスが合格か不合格かをとても気にする生き物。最初から合格点を出してほしいという女性側のプレッシャーがあると、一緒に生活するのは精神的にキビしいかもしれない」

個人の事情やわがままを受け入れるのがマッチング・アプリの本質

 Cさんの言葉には納得できた。気持ちいいセックスに知識やスキル、経験が大切なのはもちろんだが、物理的には同じことをしていても、感情も快感も個人のストーリーによってまったく別物になる。

 だからセックスで競技のように他人と競い合ったり、点数をつけることは難しい。

 マリさんが本当に探しているのはセックスの快感を共有できるだけでなく、彼女の生きてきたストーリーに共感してくれる人なのだ。

写真はイメージです ©iStock.com

 そういう相手と出会うために、「エリート女医でスペックも年収も高いが、セフレ的関係もあり」と受け取られかねない自己紹介を、「おたがいにサポートし合えるパートナーを探しています」に変えるべきだろう。子宮がなくなっても、マリさんが変わってしまうわけではないから、焦る必要はまったくないのでは? そう言ったら考え込んでいたが、1週間後、プロフィールが私の提案したように変わっていた。

 個人の事情やわがままをとことん受け入れるのがマッチング・アプリの本質で、だかここそユーザーにとって唯一無二のコミュニティになる。