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 にもかかわらず誤登録が起きたのは、人間は機械になれない裏返しなのかもしれない。

自治体職員が知らされていなかった“重大な問題”

 しかも、誤登録が起きた別の自治体の担当者は「ログアウトを忘れると、このような重大な問題が起きるのだと、後で知って驚きました。もし、事前に分かるような内容なら、マニュアルで注意を喚起してほしかった。確認をさらに徹底できたと思います」と話す。

 こうした状況に「ヒューマーン・エラー」を強調する河野大臣。しかし、748件もの誤登録が疑われる事案が見つかり、全国で同じようなミスが起きていたと類推される事態からは、政府の登録システムにミスが起きやすい手順が含まれていたのではないかとも疑われる。一気に交付率を上げようとして人々が窓口に殺到し、支援員らが焦って間違えやすくなる環境も政府が作っていた。「人為的なミス」は作業を行う現場だけで起きているのではない。

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 ところで、デジタル庁の対応で、気になることがある。

 誤登録の恐れがある748件については、ミスが起きたと疑われる自治体名や数を公表していない。対象者にはデジタル庁が2023年6月中に直接郵送で知らせ、「情報変更するための手続きを案内する」(河野大臣)としている。デジタル庁に連絡するか、自治体の支援窓口に行くかなどして、登録し直してもらいたい考えだ。

 これで本当に対処できるのか。

 対象者は自治体に開設された支援窓口に来た人が多いと見られ、スマートホンなどを持っていないか、デジタル系の操作が不得意な人が相当数いると予想できる。

福島市の支援窓口。ピークの時期を過ぎ、この日は来訪者が非常に少なかった

 デジタル庁に電話で問い合わせをする場合、これまで自治体の現場で聞いてきたのは「デジタルに弱い人には、電話でいくら説明しても全く理解してもらえない」という言葉だった。

福島市ではより踏み込んだ対応を行っている

 福島市では、4件の誤登録について公表した後、自分の口座が正しく登録されているかどうか、不安になって市役所に電話で問い合わせをした人もいた。そうした場合、自分でマイナポータルから確認できるというのが国のスタンスだ。だが、同市は異なる受け答えをした。「いきなりそう伝えたら、ますます混乱させてしまいます。そこで、まず最初に『支援窓口で確認できますから、おいでください』と伝えました。そのうえで『ご自身でもマイナポータルから確認できますよ』ともお知らせしました」と菅野係長が話す。

 生身の人間に接する市役所ならではの対応だろう。