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『あれ青年店主じゃない。経営者が替わったのだろうか?』というフレーズが脳裏をよぎった。気を取り直して「冷やし肉味噌そば」(660円)を慌てて注文した。すると「ハーイ、ちょっと待っててねえ~」とまたシャキッシャキボイスで返事が返ってきた。

ピンクのTシャツの女将

すこぶる手際がいい女将

 壁のメニューをみたり、厨房の様子をみながら注文を待つ。メニューはシンプルで、「肉味噌そば」、「かき揚げそば」、「きつねそば」、「かけそば」の4種類とその冷し。あとは「カレーそば」があるだけ。「各種うどんもご用意できます」とのこと。あとは「そぼろご飯」、「高菜明太ご飯」などの小どんぶり、かけそばと小どんぶりの「朝そばセット」など。他に弁当が3種類くらいと登場するようだ。

 女将は大手製麺屋の茹麺を湯通しして、すぐ水で冷し、大きな赤いどんぶりに入れ、冷し用のつゆをかけ回し、豚バラ肉と辛味噌をかけて、わかめとねぎをのせて完成させた。すこぶる手際が良い。

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清潔な店内だ

 ほどなく「冷やし肉味噌そば」が登場した。さっそくつゆをひとくち。鰹節厚削りで出汁をとったつゆは香りがよい。つゆの色は浅めで返しは強すぎることはなく、上品な味である。そばは十分に冷えており茹麺でもなかなかよい。辛味噌を豚バラ肉にのせてそばと食べてみると、この味噌がいいアクセントになっている。シャキッシャキの女将の味はなかなかのハイクオリティだ。

冷やし肉味噌そば

 そばを味わいながら食べていると、常連さんだろうか、次々と地元のオジサンやお姐さん達がやって来る。そして女将も「何やってんのよ、遅いじゃない。お弁当はもう売り切れちゃったわよ」とか「1号店はまだ営業してないよ。昨日は酔っ払いがいて大変だったらしいよ」とか話をしている。『1号店? 酔っ払い?』ますます謎は深まるばかりだ。

「もう満身創痍とは私のことよ」と女将

立ち食いそば屋の女将になった経緯に驚いた

 あまりにも謎なのでお客さんがいなくなった時、女将に質問したところ、次のような驚くべき事実が判明した。女将は平和島で「立ち飲み処きみちゃん1号店」(「つばめ屋」の2軒となり)や「スナックカラオケきみちゃん2号店」を経営する代表取締役・土屋喜美江さん(72歳)だという。「つばめ屋」を開業した青年は、実は女将の息子さんだというのだ。なんだか話は急展開だ。