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「満身創痍とは私のことよ」がん闘病を経て…72歳女将が、平和島の立ち食いそば屋を引き継いだ“驚きの経緯”

「満身創痍とは私のことよ」がん闘病を経て…72歳女将が、平和島の立ち食いそば屋を引き継いだ“驚きの経緯”

2023/07/04
note

「かき揚げそば」を食べに再訪

 また、別の平日午前中に温かい「かき揚げそば」を食べに再訪すると、前回にもましてシャキッシャキボイスで大歓迎されてしまった。「かき揚げそば」のつゆをひとくち。冷しのつゆもそうだったが、こちらも出汁がしっかりと利いた上品な味である。かき揚げは女将お手製でカラっと揚げられており、食べ応えが心地よい。

かき揚げそばは上品なつゆと自家製の天ぷら

 人気のお弁当は、トモダチで近所にある肉料理や洋食を提供する「キュリードシゲール」のオーナーに頼んで作ってもらっているそうだ。また来ることを告げて店を後にした。「また、おいでよ~」と背中にシャキッシャキボイスを受けながら平和島駅へ向かった。

お弁当も人気とか

小さな店の素敵な人生ドラマ

 息子さんが平和島で立ち食いそば屋をやろうと思ったのは、もちろん女将(お母さん)の健康を心配してという部分もあったはずだ。しかし、結果的に女将が引き取るカタチで立ち食いそば屋を続けることになったというのはすごい話だ。

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 決して天ぷらがたくさん揃っている店でもないし、狭小だし入りやすい店とはいえない。しかし、そんな小さな店にも素敵な人生ドラマがあったとは誰も想像つかないだろう。女将の元気な声を聞きながらそばを食べていると、人情味溢れる女将の人柄と味と人生の色彩がじんわりと伝わってくる。それが「つばめ屋」のココロであった。

 もうすぐ暑い夏がやってくる。体調には気を付けていつまでも元気で続けて欲しいと願う。再再訪は必至である。1号店の「立ち飲み処きみちゃん」にも行かないとならない。

INFORMATION

つばめ屋
住所:東京都大田区大森本町2-31-16
営業時間:月~土 6:00~15:00
定休日:日祝

※「つばめ屋」は7月の想定以上の猛暑により店主が体調を崩してしまい、8月は一時営業を休止しているとのことです。ご注意ください。

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