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「満身創痍とは私のことよ」がん闘病を経て…72歳女将が、平和島の立ち食いそば屋を引き継いだ“驚きの経緯”

「満身創痍とは私のことよ」がん闘病を経て…72歳女将が、平和島の立ち食いそば屋を引き継いだ“驚きの経緯”

2023/07/04
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 京浜急行平和島駅界隈にはかつて立ち食いそば屋が複数あった。改札を出た正面にあった自家製麺提供の店「浅間(あさま)そば」は2016年3月閉店。改札出てすぐ右手にあった居酒屋兼大衆食堂「信濃路」は2021年9月閉店。駅前周辺に立ち食いそば屋がなくなり訪問する機会も減っていた。

平和島駅前を東京湾側へ出る
第一京浜と環七が交差するため交通量も多い

 ところが、2023年1月26日に、京急平和島駅から徒歩3分位の所に「つばめ屋」という立ち食いそば屋が開業した。嬉しいことである。しかも店は千葉県柏市にある人気鉄板焼き居酒屋「Teppan ひので屋」のオーナーが開業したとか。いなりやおにぎりだけでなくお弁当なども人気だという。

 今年6月に入り「つばめ屋」を訪問することができた。そしてその訪問で素敵な人情物語を知ることとなった。

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鰻の「あきば」の横の路地へ

いざ「つばめ屋」に入店!

「つばめ屋」は平和島駅改札を出て東京湾側の信号を渡り、鰻の「あきば」の横の路地を入り環七に出てすぐの左手にある。平和島駅バス停前。店の扉は開いており店内が見える。完全な立ち食いで4人も入れば一杯になる狭小店。外にはメニューの写真が並んでいる。「肉味噌そば」がイチオシのようだ。

駅から3分程
「肉味噌そば」が人気メニュー

 訪問したのは土曜日の午後1時頃。入店するとハッとした。若き青年店主が切り盛りしているのかと想像していたのだが、なんと厨房にはピンクのTシャツを着た女将が陣取っていた。そして「ハーイ、いらっしゃーい」とやや低音で太めの江戸っ子下町風の声で元気に挨拶されたのである。これにはびっくりした。