文春オンライン

日刊ゲンダイを読めばわかる“一揆の気分”と“役人の悲劇”

いつも過激なタブロイド紙は「おじさんの代弁者」

2018/03/02
note

タブロイド紙らしい下世話な憶測に現実味が出てきた時代

「確定申告に影響も」(毎日新聞 2月14日)

 立憲民主党の長妻昭氏が、佐川氏への苦情が国税庁に寄せられていないのかただすと、麻生財務相は「当然そういうこと(苦情)が起きることは、十分あり得ると思っておかないといけない」と述べた。

 タブロイド紙発の「おじさん達の気分」が国会まで届いた瞬間である。それだけ佐川氏の「逃亡」は理不尽にうつったのだ。

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 しかし、ここまで佐川氏が出てこないと次の見立ても出てくる。同じく日刊ゲンダイ。

「これは巧妙なアッキー隠しだ」(2月10日)

「“昭恵喚問”を消し去るために、佐川長官をいけにえとして差し出すつもりだろう、とみられています」という「官邸事情通」の解説が載る。本当に事情通かどうかは知らないが見立てとしてはハッとする。

安倍昭恵さん ©文藝春秋

 さらには、

「平昌五輪開幕に合わせて公表 幕引きはかる姑息な思惑」(2月13日)という記事も。

 財務省が9日に森友学園関連で新たに「20件、300ページ」に及ぶ大量の資料を国会に提出したが、見事に平昌五輪の開幕式の日程に合わせているのだ。しかも翌日から週末3連休でニュース番組でとりあげられる機会が少ない。タブロイド紙らしいこの下世話な憶測にむしろ真実味があるのが最近の政治状況である。

「隠れている」のではなく「隠されている」?

 こうなると佐川氏への怒りも当然な感情だが、佐川氏は「隠れている」のではなく「隠されている」可能性も考えたほうがいい。出てこないのではなく出させてもらえない。この状態が続くと国民の怒りは佐川氏に一点集中するからだ。

佐川国税庁長官 ©時事通信社

 佐川氏が「説明をしない」のは私も依然として納得できないが、「説明させない」メリットのほうにも目を配る必要がある。