「裁量労働制」不適切データと「お役人の悲劇」
政権をかばうために頑張ったら、自分一人に怒りの矛先が向けられているという「お役人の悲劇」。あくまで仮説であるが、これは最近のあの話にも似てくる。「裁量労働制」をめぐる厚生労働省の不適切データ問題である。
《全く異なる方法で行った二つの調査結果を基に、裁量労働制は労働時間の短縮につながると思わせる答弁を国会で繰り返してきた。》(東京新聞2月20日)
というデータ問題。驚くのは、
《安倍政権はこの三年間、不適切と認めた調査データを裁量労働制を問題視する野党や労働界への反論材料に使い続けてきた。》(同)
という事実である。
「働き方改革法案」問題はモリカケと同じ構図?
こうなると誰もがふと思う。
《問題のデータは裁量労働制の対象拡大を実現するため、政府が作ったのではないかという点だ。》(朝日新聞 2月20日)
26日の衆院予算委員会では加藤勝信厚労相と立憲民主党の長妻昭代表代行のこんなやりとりが。
《裁量労働と一般労働の不適切なデータ比較を「誰が指示したのか調べるべきだ」とただした長妻氏に対し、加藤氏は「担当課が出してきた。それ以上でもそれ以下でもない」と、木で鼻をくくったような答弁を展開した。》(毎日新聞 2月27日)
ここで先ほどの仮説を思い出してほしい。政権のために頑張ったら怒りの矛先が自分に向けられているという「お役人の悲劇」説を。
実際にこういう記事も出た。
「『働き方改革法案』問題 モリカケと同じ構図 首相の『裁量』に忖度!?」(日刊スポーツ2月20日)
裁量労働制をやりたい安倍総理の意向に反するデータは出せず「忖度があったのではないか」。
佐川氏の森友学園答弁も、厚生労働省の今回のデータも、どちらも強引で無理やりな感じが漂う。
どうしてこんなにずさんなの? と疑問に思うが、それはずさんなのではなく、むしろ几帳面にお役人仕事をやっていた結果なのではないか?
「働き方改革法案」問題はモリカケと同じ構図? そんな可能性も考えておきたい。