平昌五輪も閉幕して、祭りのあとの若干のさみしさも漂う。

 しかし、国会では「裏五輪」が白熱していた。五輪期間中もタブロイド紙は相変わらず通常運転で「政治ネタ」を1面に躍らせていた。

 そこでもう一度、タブロイド紙の役割とは何か、考えておきたいーー。

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 2月5日付の日刊ゲンダイに「2・16『納税者一揆』炸裂」という記事が載った。

 佐川国税庁長官のあの説明はなんだったのか、トップがこのまま姿を現さずに説明しないなら「納税者一揆」が起きるという内容だった。(各紙社説が総怒り! 「佐川国会」2月16日が注目という理由

2月5日付日刊ゲンダイより

「日刊ゲンダイ」の過激な見出しの理由

 佐川氏は1年前は財務省理財局長として森友学園への国有地売却問題の政府答弁を担当していた。文書は「破棄した」と答弁していたが、新たな行政文書や音声データが出てきた。

「自分たちは書類捨て納税者に『とっておけ』とは矛盾」(朝日新聞2月17日)と朝日は報じたが、朝日よりずっと前にタブロイド紙(日刊ゲンダイ)が納税者の気持ちを代弁していたのである。

 タブロイド紙は会社帰りのお父さんが電車内で一日の疲れと憂さを晴らしながら読むという前提でつくられている。以前ゲンダイの偉い方に「あの過激な見出しの理由」を訊ねたら、

「見出しが電車の窓に映ったとき、隣の人にも『おっ……』とわかりやすく思ってもらえるように」

 と教えてくれた。つまりあの見出しはゲンダイ師匠からお父さんたちへの檄文なのである。ゲンダイの見出しが扇情的なのはそういう「きちんとした理由」があるのだ。

ゲンダイの「納税者一揆」記事は2月27日付でも繰り広げられた

 ところが今回「佐川氏はなぜ姿を現さない?」「国民はきちんと確定申告してるのに!」という気分が帰宅中の電車内の共感だけで終わらずに、世の中の気分と一致した。そして遂には国会にまで。