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〈退職金は10年で1000万円減少〉“給料が上がらない時代”に“いつまで働くか”問題

2023/06/24
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退職金は10年で1000万円減少

 大卒新入社員の月給を25万円とした時、50~54歳の男性の月給は、1995年時点では56万円まで上がっていたが、2021年には48万円までしか上がらなくなった(賃金構造基本統計調査より算出)。

 しかも退職金制度設置率が下がり、退職金の額も減少している。

 97年の調査では、退職金制度のある企業の割合は89%、大卒者の定年退職金の平均額は2871万円だった。それが18年には80%まで下がり、平均額は1788万円と、10年間で実に1000万円以上減少しているのだ。

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 この会社員にとって辛いニュースでしかない「賃金カーブのフラット化」と「退職金の減少」がなぜ起きたのかと辿っていくと、企業側には「社員を継続雇用する原資を確保するため」という事情があるのだという。

©AFLO

 高年齢者雇用安定法が改正され、13年以降は、企業には「65歳までの定年引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年制の廃止」のいずれかが義務付けられた。また21年には、その年齢を70歳まで延長することが「努力義務」となったが、今後、「義務」になる可能性が高いと言われる。

 ただし継続雇用においては雇用形態は定められていないため、業務委託、嘱託等に切り替えられ、給料が抑えられる場合が多い。定年前に比べると圧倒的に少ない賃金で、定年前と変わらない仕事をしている人も少なくない。

 しかも、継続雇用の内容は、今後厳しくなる可能性がある。ホワイトカラーの転職を手掛ける、ある女性コンサルタントはこう分析する。

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