50歳を過ぎての転職
「80年代後半から90年代初めに入社したバブル組が、数年後に60歳を迎え始めるためです。人数が多いため、現在の継続雇用制度を維持できるか不安視する声を聞きます。今は1年更新が主流ですが、半年更新になるかもしれません」
では得意分野を活かして、転職するという選択肢もあるのだろうか。50歳を過ぎてからの転職のケースを紹介しよう。
大学卒業後、東証プライム上場の大企業に入社した男性(60歳)は、30代で米国に赴任。以後、米国と欧州で駐在を繰り返し、現地法人の責任者まで務めた。55歳の時、部署が閉鎖されたのを機に退職し、5年契約で中堅の同業に転職、今年8月に契約が切れるため就活している。
だが、前出のホワイトカラーの転職を手掛ける女性コンサルタントはこう解説する。
「英語が堪能で、購買の仕事を続けてきてスキルもある。今は原材料の調達が難しくなっているし、仕事の需要はあると思いますが、大企業には『60歳ですか……』と年齢ではねられます。中小企業の場合、この年齢に用意できる年収は300万~400万円ほどの印象です。彼の場合はスキルがあるので、週2、3日の勤務なら行き先はある。本人は毎日働くことを希望しているので、掛け持ちする選択肢はあるでしょう」
前出の女性コンサルタントは、転職市場についてこう話す。
「50歳を過ぎると転職は相当厳しくなりますが、50~54歳を見ると、近年の傾向としては、様々な部署を経験したジョブ・ホップ型より、一つのことに従事してきた人が好まれます。企業としては、何か足りないと考えた時に、そうした人材が埋めてくれると期待するようです」