ほとんどの人の動きに背を向けて北口に向かうと…
そういうわけで、華やいだ雰囲気の南口に背を向けて、舞浜駅の北口に出た。駅前には小さな小さなペデストリアンデッキ。普通の駅にすれば普通のサイズなのかもしれないが、南口のペデストリアンデッキがなかなか大きいので、それと比較するとずいぶんコンパクトに感じられる。
そのペデストリアンデッキの周りはというと……まあ、一言でいえば何もありません。夏を控えて勢いを増す雑草が茂る空き地があり、その脇には駐輪場があり、喫煙所があり、行政サービスセンターの小さな建物があるが、それくらいであとはまったく何もありません。駅前にはお約束のコンビニもなければ交番もないし、人が集まるような施設はひとつもない。それが、舞浜駅の北口だ。
空き地の向こうの駅正面には、高速道路(首都高湾岸線)が通っていて、舞浜入口があるのが見える。首都高湾岸線は、おおむね京葉線に沿って走る。だから、駅の北口からまっすぐ北を眺めても、視界は高速道路の高架で遮られている。その下を、駅前のペデストリアンデッキからの通路が通っている。高速道路がありました、で終わっても意味がないので、通路を歩いて高速道路の向こうに何があるのか、見に行ってみよう。
高速道路をこえ、駐車場を横目に階段を降りると…
片側が歩行者、片側が自転車専用に分かれている通路を歩いて高速道路を潜る。その先には幅の広い道路が通っていて、それもまるごと通路で渡る。大きな駐車場があるのも見える。これはきっと、クルマでディズニーにやってきた人たちのためのものだろう。
そして通路の先で階段を降りると……そこは驚くほどによく整った住宅街が広がっていた。閑静な、などというありふれた表現を使うしかないほどに閑静な、静かで落ち着いた住宅地。ほとんどが戸建て住宅で、一角には小学校もある。舞浜小学校というらしい。
学校帰りの子どもたちが三々五々、帰宅してゆく舞浜小学校の奥には、小さな川が流れている。見明川といい、舞浜エリアが埋め立てられたときに作られた、いわば人工の川で、旧江戸川と東京湾の間を流れる。この川沿いもまた、延々と広大な住宅地だ。高速道路の下を潜って南東側に向かって歩いていっても、川の両脇は住宅地。川沿いは桜並木になっているようだ。