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ディズニーランド開園の1983年、そのころは京葉線もなく…

 ディズニーランドは1983年に開園している。ただ、この頃はまだ京葉線もなければ、ほかの埋立地もまだ完全には完成しておらず、舞浜駅北側の住宅地もごく一部が完成していたに過ぎなかった。

 

 とりわけ、「舞浜」と呼ばれる地域にあたる見明川の南側は、ほんとうにごくわずかのエリアの分譲がはじまったばかり。ディズニーランドへのアクセスは、地下鉄東西線の浦安駅からバスに乗り継いでいたという。舞浜駅が開業したのは1988年。いまのような、駅を降りたらもう夢の国、などというしつらえは、開園から少し後になってからのことだったのだ。

 

 ちなみに、舞浜という地名は、伝統的な神楽舞「浦安の舞」にちなんだという。マイアミビーチに倣って、などという説が定着していたが、実はそうではなかったことが最近になって発覚したとかなんだとか。古いものも新しいものも、地名の由来というのはなかなか簡単に定められないものであることは間違いないようだ。舞浜以外の他の埋立地の地名は、主に海だった時代の漁場の名前などにちなんで決められている。

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 ともあれ、京葉線の舞浜駅に降り立って、南に出ればもう夢の国。反対側の北に出ると、高速道路や草むす空き地が目に留まる、どちらかというと夢とは正反対の世界が広がる。その向こうには、人々の暮らしが息づく住宅地だ。

 

 が、もとを辿ればどちらも同じ海の上。水質汚染で生活が断たれた漁師たちが、その後の暮らしの安定のために、この埋立地に夢を見た。そしていまや浦安市の名を全国に知らしめるエリアになった。そういう意味では、本質的には舞浜駅の北も南も変わらないのかもしれない。

 

 最後に、住宅地の中を歩いていた人に、「やっぱりディズニー、よく行くんですか?」と聞いてみた。すると「年中行く人もいるみたいですけど、ウチはあまり。人それぞれじゃないですか」。ごもっとも、である。

写真=鼠入昌史

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。