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 たとえば「刑の消滅」があっても、何かをやらかして刑事裁判ということになれば、過去に刑の宣告を受けたことが考慮されて、罪が重くなるとか、情状酌量がされなくなるとかは充分にありえる。そういう意味では前科者は一生、前科者だ。

 だが、それは刑事裁判の場合で司法試験には当てはまらない。ただし「刑の消滅」になっていることが大前提だ。

 ということは、今、広島刑務所にいる俺が「刑の消滅」となるには10年以上もかかるわけで、そのときにはもう50歳近い。

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 それから新米弁護士になるのはきつい。

 やっぱり「絵に描いた餅」だったか、と諦めかけたが、さらに調べてみたら「司法書士」ならば俺のような「前科者」でもなれるということが分かったのだ。

 これだ!

司法書士とは

 司法書士とは、「登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする」者である(司法書士法第一条)。

 具体的な業務は、司法書士法第三条で次のように定められている。

第三条(業務) 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

 

一 登記又は供託に関する手続について代理すること。

 

二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(略)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。

 

三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。

 

四 裁判所若もしくは検察庁に提出する書類又は筆ひっ界かい特定の手続(略)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。

 

五 前各号の事務について相談に応ずること。

 

六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。(以下略)

 

イ 民事訴訟法(略)の規定による手続(以下略)

 

ロ 民事訴訟法(略)の規定による支払督促の手続(以下略)

 

(ハ、ニ略)

 

ホ 民事執行法(略)規定による少額訴訟債権執行の手続(以下略)

七 民事に関する紛争(略)

八 筆界特定の手続

 

(以下すべて略)

 

 読みやすくなるように、できるだけ省略してみたがどうだろう。ざっくり言えば司法書士の仕事は民事、つまり土地や登記に関する手続の書類を作ることで、さらには最近では「認定司法書士」という資格を得れば、簡易裁判所で扱う140万円までの民事訴訟なども担当することができる。

 先ほど書いた、過払金訴訟もこの「認定司法書士」ならば請け負うことができる。認定司法書士になるのは、さほどむずかしいことではないが、司法書士が活躍する場はこれでかなり増えたと言えるだろう。