教団にいたときの話をネットに投稿
ーーC-C-Bで脚光を浴びていた頃は、かつてのことを引きずったりは?
関口 華やかな世界に飛び込んで、女の子にキャーキャー騒がれて「世界って、なんて素晴らしいんだろう」と、急に人生が開けたように思えて。ああいう教団にいたときのことは、すっかり忘れたはずだったんですけどね。
10年くらい前かな。「これから、どうしたらいいんだろう」って、仕事で悩んでいた時期があったんですよ。で、なんとなく自分のいままでを振り返って、思いついたことを携帯に書き留めていたんです。
気づいたらひとつのストーリーになっていて、内容はすべて母との話で。『僕と母の神さま』ってタイトルを付けてネットに上げたんですけど、岐路に立たされたときに書いたものが教団にいたときの話になっているから、「まだ、引きずってるんだ」とハッとしましたね。
ーー安倍晋三銃撃事件をきっかけに、宗教2世の問題がクローズアップされました。それ以降、自身の気持ちや世間の目が変わったとか、なにか感じましたか。
関口 事件のとき、「僕も宗教2世だったんですよ」ってツイートしたんです。「カミングアウトするぞ」みたいな、だいそれた気持ちじゃなかったけど、すごい反響が来ちゃって。すこし名の知られた人間がそういうことを打ち明けることが珍しいと後で知って。「だから、みんなリアクションしてくれたのか」って。
以前、母との話をネットに上げたときは、他の2世の方から「私もそうでした」とときどき言ってもらえるという程度の反響だったから、世間の空気が変わったなと感じますよ。
自分としては「俺、ちょっとかわいそうな子ども時代だったんだな」と改めて受け入れました。振り返ってみると、作るもの、書くものに、あのときに経験したことに対する疑問や怒りが表れている気がしますしね。
ーー「復讐してやるみたいなこと言っても仕方がないし、単なるヘイトになっちゃう。現在苦しんでいる人に何ができるか?何を言ったら少でも協力できるか?を僕は考えたいです」と自身のTwitterでツイートしていますが、今後はそういった活動を?
関口 積極的になにかするわけじゃないですけど、同じ宗教2世だった人の話を聞きたいし、同じ思いを共有したいとは考えています。
そうすることで、僕もニュートラルな自分になれるというか。経験者しかわからない感情ってあるし、それを出せない人の苦しみも僕は理解できるんじゃないかって。だから、「わかるよ」ってことをツイッターで一言つぶやくだけでもいいんじゃないかって。
写真=深野未季/文藝春秋