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 こうした環境では、異性との交際を楽しんだりするチャンスはかなり限定されたものとなってくる。もし眞子内親王に一般女性のような恋愛の自由が認められていたとしたら、どうだっただろう。心に余裕ができ、親の意見に素直に耳を傾けていたかもしれない。いずれにしろ、あのような姿勢ではなかったのではなかろうか。

2020年、眞子さまのお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

 1988年3月、学習院大学卒業を前にした記者会見で、秋篠宮のこのようなやりとりが深く印象に残っている(薗部英一編『新天皇家の自画像』文春文庫)。

――浩宮様(現天皇)は結婚問題でマスコミから包囲されていますが、弟から見てかわいそうだと思われますか。

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 記者から聞かれた秋篠宮は次のように答えた。

「それはありますね。それだけ皆が注目すれば、女性との付き合いとかもむずかしくなると思うわけですね。もう少しそういうことに自由があってもよいのではないでしょうか」

 この発言から30年以上が経ち、状況は改善されるどころか、いっそう制約が多くなっている感すらある。もし街中で皇族がデートしようものなら、たちまちSNSで拡散されることだろう。彼女が新しい恋に踏み出せないのは、彼女を取り巻く環境や皇室制度そのものが、もはや今の時代にそぐわなくなっているのではないか。

周囲の忠告に耳を貸さず頑なになった要因

 それが彼女が周囲の忠告に耳を貸さず頑なになった要因の一つではないかと思う。

2021年10月26日に婚姻届を提出し、記者会見に臨む小室圭さんと眞子さん ©JMPA

 このような不条理な状況を知ってほしい。彼女の結婚問題が、私たち国民に投げかける課題は決して小さなものではない。この問題について、後章で詳しく述べたい。

 結婚問題についてその後の経緯をたどっておく。

 2021年2月に行われた誕生日会見で天皇はこう語った。

「眞子内親王の結婚については、国民の間で様々な意見があることは私も承知しております。このことについては、眞子内親王が、ご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」

 天皇が姪(めい)の結婚問題について言及するのは極めて異例のことだ。弟である秋篠宮の発言を踏まえながら、現状では眞子内親王の結婚が、「(多くの国民が)納得してもらい喜んでもらう状況にはない」ことを認めた形となった(天皇は、翌22年の誕生日会見でも「多くの方に心配をお掛けすることになったことを心苦しく思っています」と述べた)。