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「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇」5歳違いの兄・天皇陛下を支える秋篠宮さまの“知られざる本音”

『秋篠宮』#3

2023/06/29

genre : ニュース, 皇室

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 6月29日、秋篠宮ご夫妻は結婚33周年を迎えられた。ジャーナリストの江森敬治氏による『秋篠宮』(小学館)から、秋篠宮さまが語られた皇嗣殿下としての心構えや決意について、一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/#4に続く)

◆ ◆ ◆

皇嗣として

 新しい時代が始まった2019年5月1日朝、東京はあいにくの空模様だった。

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 晴れ間を覗(のぞ)かせたのもつかの間、再び雨が降った。

 新天皇が即位し、令和がスタートした。これに伴って秋篠宮も皇位継承順位が第一位の皇嗣という、より重い立場に変わった。皇嗣職大夫(だいぶ)をはじめとする皇嗣職の職員たちも、この日が仕事始めとなった。秋篠宮一家を支える組織も整い、秋篠宮夫妻の新たな活動も始まった。

秋篠宮さま ©JMPA

 平成が押し詰まった19年2月、秋篠宮一家は宮邸に隣接する御仮寓所に引っ越した。宮邸の増改築が終わるまでの数年間、ここで暮らすことになった。

 桜も散り出していたある春の日のことだ。秋篠宮に会うため、東京・元赤坂の御仮寓所を訪れた。この日は、晴天だった。汗ばむ陽気にコートを脱ぎ、スーツにネクタイ姿で訪問した。

 巽門に着くと、ヘルメットをかぶった作業員二人が石の壁に上って、作業をしていた。こんな光景を見るのは珍しい。門内には工事車両が数台、駐車していた。作業員や車が多く見られ、どこか慌ただしい様子だ。

 いつものように皇宮護衛官に行く先を尋ねられた。彼も暑いのだろう、白いワイシャツ姿だった。

 門を入ってまっすぐに進むと秋篠宮邸だが、改修中である。一時的な住まいとなる御仮寓所は門を入ってすぐ右に折れた場所にある。

 新築の鉄筋コンクリート3階建てだ。とはいえ、住宅街に建っていたとしても特段目立つことのないような住まいである。

 ちなみに、本邸の改修が終了した後は撤去するのではなく、事務所などとして活用されるらしい。

 背の高いメガネをかけた男性職員が玄関のドアを開けて部屋に案内してくれた。廊下を通る時、来客用のお茶や和菓子、デザートがたくさん並べられたワゴンを目にした。秋篠宮夫妻は、今日も多忙らしい。

2023年5月、チャールズ英国王の戴冠式に紀子さまは着物姿で参列された ©AP/AFLO

 席に座り、時刻を確認すると約束の時間よりも15分早かった。職員は「しばらく、お待ちください」と言ってから、温かいほうじ茶を持って来てくれた。お茶を飲もうと、白い茶碗の底を見ると、青い小鳥が描かれていた。一口飲んで部屋の中を見渡した。